ホームシステムのビジネスプランは?
IoTが、いろいろなことに使えるのは分かってもらえたと思うが、ビジネスプランは、どう考えるべきなのだろうか? ホームシステムを入れるのに、まずお金が掛かる。次にネットの回線料。問題はそこからだ。実際は、サブAIと呼ばれる音声認識システムの使用料。そしてユーザーの要求するオーダーに従って、家電に指示を出す、クラウドの使用料が必要だ。インターネットはネット上にある情報はただで使えるというのが、元々の概念だったが、今はそうはなっていない。ただのゲームをインストールしたら、ハマってしまい、ゲーム内課金で小遣いがなくなったなんて話しも良く聞く。
数年前、ある家電メーカーから、このクラウドのユーザー使用料に5万円/月という値を聞いたことがある。瞬時に思ったのは「あり得ない!」だ。というのは、ホームシステムはエンターテイメントではないので、高い金額設定はあり得ないのだ。
総務省の統計データーによると、2人以上世帯の月平均支出額は、28万3027円/月。内、通信費は、1万3270円/月。実はこれ教育費の1万1062円/月を上回る。クラウド費を別に取るなら、数百〜千円台。電気料金の基本料金程度ならというのが、いいところだろう。
パナソニックはNTTとの共同実験で、NTTが有する「AIエージェントサービス」の使用も視野に入れるとしたが、最終的にどうなるのだろうか? かかわる企業が増えれば、増えるほど、料金は高くなりそうだ。
ベンチャーの参入はあるのか?
では、視点を変えて、ホームシステムへベンチャーの参入はあるのだろうか? 分野によっては「ある」と思われる。具体的には「連携」を使うところだ。空調家電の連携は、家電メーカーも未だに手を付けていない分野。また連動に関する研究は、メーカーの研究報告の中にも出てきていない。むしろ、大学の環境工学科の方が基礎理論は、早く組み立てるような気がする。理論が組み上がれば、Wi-Fiだと、すでに実用化されているエコーネットライトで、家電に指示を出すことができる。あくまでも可能性だが、米MITから出たボーズのように、日本の大学発のベンチャーもあり得るのだ。
国が推すホームシステムHEMSは?
数年前から国が推しているホームシステムにHEMSがある。HEMSは、ホーム・エネルギー・マネージメント・システムのこと。太陽電池を組み合わせ、エネルギーを管理、最終的にはZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)につなげる考えだ。元々の予定では、2030年の新築一戸建ての内、50%はZEHになる。
その元になるHEMSだが、まだほとんど普及していない。私も2013年に導入しようと試みたが、2つの理由で断念した。1つ目は、前の項にある「Wi-Fi」の問題。2つ目は、収支が合わない。10万円前後ならと思ったのだが、太陽電池抜き、電気の節約だけで回収しようとすると、10年近く掛かる計算。さらに付記すると、節約はできても、面白くなさそう。前述の通り、便利でも、面白くなければ、高いお金は出せないのが人間だ。
ホームシステムは、各部屋の家電をネットでつなぐのがイロハのイだ。一端組んでしまえば、それに乗せて、いろいろなことができる。しかし、一番の問題は、それ自体に誰がお金を出すのかということだ。10万円で全てがつながり、めでたし、めでたしと言うならまだしも、100万円プラスなら、新築の家を建てる時でも考え込んでしまう。
普及のために必要なのは、理屈ではなく、魅力的な効果を見せること。同じ様に「コネクト(つながる)」システムにクルマがあげられ、こちらは順調そうだ。少なくともクルマは動くため、効果を見せやすい。つまり、それが「いいなぁ」となるとお金を出してもらえるのだ。ホームシステムは、今、飛び始めるステージに立っている。が、残念ながらまだ翼を持っているとは言えない状態だ。
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