上部枠線

アジアは変わるのか 改訂版
松井孝典、松本健一 編著

目次 立ち読み


日本を含むアジアは、とくに近代、激動の時代を経験してきた。わが日本は幕末に黒船の衝撃を受けて以来、西洋の技術や文明に脅かされ、近代化の道は性急の事態となった。その後は、日清、日露、二度の世界大戦と、未曾有の戦争を体験している。

いつの時代も、他国(他文明)の存在を大きく感じれば感じるほど、自国がどのような道を歩むべきかを考えざるを得なくなる。日本に関して言えば、欧米の脅威にさらされたときに、アジアという近隣諸国に、どのような協力を要請するのか、どのような外交関係を築いて強大な欧米諸国に相対するのかが、当時も今も、常に大きな政治的課題として浮上するのである。

わたしたちはいま、歴史的にも地理的にも、アジアを再考する必要がある。わたしたちが想像の共同体である<アジア>をいかに措定するのか。日本にとって、アジアという共同体は、いったい何なのだろうか?「アジアは一つ」であることの現代的価値とは?

本書は、地球規模でアジアの文明を考え、歴史的な日本とアジアの関係を振り返り、その行く末を考える文明論である。

<書籍データ>
◇B6判並製・153頁
◇1,470円(本体1,400円+税)
◇2009年8月26日発行

<編著者プロフィール>
【編著者】
松井孝典(まつい・たかふみ)
東京大学大学院教授。2009年4月より、千葉工業大学惑星探査研究センター所長。NASA研究員、マサチューセッツ工科大学招聘科学者等を経て、現職。地球をシステムとして捉え、宇宙規模での人間理解を提唱する。著書に『地球・46億年の孤独』『松井教授の東大駒場講義録』『われわれはどこにいくのか』ほか多数。
松本健一(まつもと・けんいち)
評論家、麗澤大学教授。東京大学経済学部卒業。京都精華大学教授を経て現職。主な研究分野は近・現代日本の精神史、アジア文化論。著書に『近代アジア精神史の試み』『開国・維新』『評伝 北一輝(全5巻)』『竹内好論』『泥の文明』『畏るべき昭和天皇』ほか多数。

◎お知らせ
『アジアは変わるのか』の初版に訂正箇所がございましたので、このたび改訂版を発刊することといたしました。初版をお買い上げいただいているお客様で、改訂版へのお取替えをご希望の方は、お名前、ご住所、郵便番号、電話番号をお書き添えの上、料金着払いの宅配便にて「初版」を弊社宛て下記住所までお送りください。折り返し「改訂版」を送料弊社負担にてお送りさせていただきます。
◎ご連絡先
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビルディング3F
株式会社ウェッジ書籍事業部『アジアは変わるのか』改訂版係
フリーダイヤル 0120-37-4635(平日午前10時~午後6時)

<立ち読み>
■はじめに
環境問題をはじめ、今日ほど地球環境と文明の問題が問われている時代はない。われわれはいま、地球的スケールで文明の問題を捉えなければならない時機に来ているのではないだろうか。

私は長らく自然科学者の立場から地球を見つめてきた。その視点からいえば、地球をある一つのシステムとして捉えた場合、地球にはわれわれ人間の暮らす人間圏、そのほかの生物が暮らす生物圏、大気圏、大陸、海などさまざまな要素によって構成されていると考えることができる。文明とは、この地球システムの中に人間圏という構成要素をつくることなのである。
環境問題をはじめ、今日ほど地球環境と文明の問題が問われている時代はない。われわれはいま、地球的スケールで文明の問題を捉えなければならない時機に来ているのではないだろうか。(中略)

現代、このように文明の未来をめぐる分岐点にある状況は、日本の歴史でいえば、明治維新の段階に近いのではないだろうか。日本が西洋に倣って文明化していくなかで、当時の知識人は「文明とは何か」ということを問うた。岡倉天心や福沢諭吉らは、明治維新で日本という国を再生させるべき段階において、その根源まで遡って考えたわけである。たとえば「アジアは一つ」「脱亜入欧」という彼らのことばに表れているように、まだ未知のものであったアジア文明とヨーロッパ文明について、定義を考え比較して、いろいろ議論したのである。いまわれわれが「文明とは何か」を考えることは、まさにそのことと同じではないだろうか。私が本書においてアジアをめぐる問題意識を持つのは、そのような問題意識からである。

私たちは、新しい文明の型を求めていかなくてはならない。そのオルタナティブなアジア文明を模索するにあたり、たとえば新たな“アジア主義”ともいうべき可能性があるのだろうか。本書では、揺れ動くアジアの新たな文明のかたちを模索すべく、さまざまな視点から、アジアとは何者であるかを捉えなおしてみたい。
(続きは本書でお読みください)
<目次>
はじめに
  松井孝典

第1部 アジアを超えて

第1章 地球維新を起こそう――いま一度地球を洗濯いたし申し候  松井孝典
第2章 いま、「アジア主義」を再考する  松本健一
第3章 東アジア地域システムをどう考えるか  白石 隆

第2部 鼎談 新たなアジア文明のために  松井孝典+松本健一+筒井清忠

 

下部枠線
WEDGE最新号のご案内
2012年2月号

2012年2月号
(1月20日発売)

特集
「うつ100万人」は減らない

»詳細を見る

ひととき最新号のご案内
2012年2月号

2012年2月号

特集
椿─春つげる花

»詳細を見る

下部枠線
WEDGEInfinity へ
「ウェッジの書籍」の内容は、WEBマガジン「WEDGEInfinity」にて一部を読むことができます。
下部枠線