書籍詳細

謎解き 源氏物語
日向一雅 著

目次
立ち読み


『源氏物語』が書かれたのは十一世紀のはじめ、ちょうど千年前のこと。書かれた当時からすでに傑作として高い評判を得たらしく、作者の紫式部が仕えた中宮・藤原彰子は、一条天皇の皇子を出産して宮中に帰る時、『源氏物語』を持参したという。

物語といえば「女の気晴らしの読みもの」と見下されていた時代に、『源氏物語』だけは同時代の男性貴族たちが競って話題にした。『源氏物語』を読んだ一条天皇は、「この作者は日本の歴史を講義したらよかろう。本当に学識があるようだ」と感想を述べたと『紫式部日記』は伝えている。中宮彰子の父・左大臣藤原道長は紫式部に向かって、「あなたは色恋の物語の作者なので、言い寄らない男はいないだろう」と言って冷やかした、という。

この二つのエピソードからは、『源氏物語』が歴史を描いた作品として読まれた一方で、華やかな恋物語として読まれたのだということが分かる。今日では『源氏物語』といえば恋物語とばかり考えられているが、かつてはむしろその歴史的な面に大きな関心が向けられていた。『源氏物語』はそういう二重性を持った作品なのである。

本書では物語のさまざまな仕掛けを解き明かしながら、『源氏物語』の奥深さを探る。それがタイトルの「謎解き」の意味である。『源氏物語』は読者の様々なレベルの興味や関心、問題意識に応じて、それにふさわしい相貌を見せてくれるだろう。物語の展開に即しながら、『源氏物語』の面白さ、その複雑な仕組みや表現についてわかりやすく解説する。

<書籍データ>
◇A5判並製・166頁
◇定価:本体1,800円+税
◇2008年9月20日発売
◇ISBN: 978-4-86310-031-2

<筆者プロフィール>
日向一雅(ひなた・かずまさ)
明治大学文学部教授。平安文学専攻。1942年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(文学)。近年の主な著書『源氏物語の準拠と話型』(至文堂、紫式部学術賞受賞)、『源氏物語 その生活と文化』(中央公論美術出版)、『源氏物語の世界』(岩波新書)。編著『源氏物語の鑑賞と基礎知識 須磨』『同 明石』『同 若菜下(後半)』(至文堂)、『源氏物語 重層する歴史の諸相』(竹林舎)、『王朝文学と官職・位階』(竹林舎)、『源氏物語と平安京』(青簡舎)。共著『源氏物語――におう、よそおう、いのる』(ウェッジ)など。

 

謎解き 源氏物語

※下記のサイトでこの本を購入することができます。

Wedge最新号のご案内
2017年9月号

2017年9月号(8月20日発売)

特集
捨てられる土地 登記しない地権者、ツケを払う次世代

»詳細を見る

ひととき最新号のご案内
2017年9月号

2017年9月号

特集
樽と桶 木の〝うつわ〟の味な話

»詳細を見る

WEDGEInfinity へ
「ウェッジの書籍」の内容は、WEBマガジン「WEDGEInfinity」にて一部を読むことができます。