上部枠線

ビールがおいしくなる話
橋本直樹 著

目次 立ち読み

 

ビールのうまさは「アクロバチックな挨拶のやうなもの、人のいい小さなつむじ風のやうなもの」(高村光太郎)。蒸し暑くなってくると、あのゴクゴク、プハー!が待ち遠しい。
しかし「とりあえずビール」と言われるように、誰もが飲んでいるけれどワインと違っておいしさを教えてくれるソムリエ役がいません。
そこで本書では、大手ビールメーカーで長らく工場長を務め、ビール研究に携わってきたビール博士の著者が、ビールファンのためにおいしさの秘密をお教えします。ほろ苦さの秘密、なぜ泡が一番うまいか、ビール工場で行われる‘官能試験’とは?
また、実は5千年の歴史を持つビールの豊かな文化や、現代のビールに至るまでのイノベーション、日本ビール事始め、気になるビールと健康のことなど、ビールにまつわる薀蓄を読みやすい小話にして収載しています。

 

<書籍データ>
◇新書判並製 224ページ
◇定価:本体1,300円+税
◇2015年7月20日発売
◇ISBN: 978-4-86310-146-3

<著者プロフィール>
橋本直樹(はしもと・なおき)者
昭和31(1956)年、京都大学農学部農芸化学科卒業。キリンビール株式会社入社、同社研究所でビール醸造の科学・技術の研究に従事する。開発科学研究所長、ビール工場長を歴任して常務取締役で退任。その後、京都大学、三重大学、東京農業大学で非常勤講師を歴任し、帝京平成大学教授、現在「食の社会学研究会」代表。農学博士、技術士(経営工学部門)、日本農芸化学技術賞、日本醸造学会功績賞を受賞。著書に『ビールのはなし―おいしさの科学』(技報堂出版)、『ビール・イノベーション』(朝日新書、朝日新聞出版)、『食品不安』(生活人新書、NHK出版)、『大人の食育百話』(筑波書房)、『日本食の伝統文化とは何か』(雄山閣)など多数。
 

>>Amazonで購入する
>>紀伊國屋書店ウェブストアで購入する
>>セブンネットで購入する
>>楽天ブックスで購入する
>>hontoで購入する

 

 

 

<立ち読み>

 

「第1章 4 ビールはよく泡立てて注ぐとおいしい」より
世界にはいろいろな酒があるが豊かに泡が立つのはビールだけである。ビールには発酵、貯蔵中に生成した炭酸ガスが過飽和状態になって溶け込んでいるから、栓を開けてグラスに注ぐと溶け込んでいた炭酸ガスが分離して放出され気泡となって泡立ち始める。(中略)
ここで、ビールがおいしくなる注ぎ方をお教えしよう。まず、ビールとグラスを冷やすことである、夏ならば摂氏4度、冬ならば8度ぐらいに冷やすのが適当である。生ぬるいとビールを注いだとき炭酸ガスが一気に分離して泡ばかり注ぐことになるし、ギンギンに冷やし過ぎると泡が立ちにくくなり、冷たくて味も分からなくなる。
グラスは洗剤で洗い、よく濯いでから下向きにしてそのまま自然乾燥する。布巾で拭うと油がグラスの壁に残ることがあり、泡がすぐに消えるからである。グラスは200ミリリットルぐらい入る大きめがよい。小さいグラスでは泡が立つように勢いよく注ぐのが難しい。
ビールは静かに開栓し、グラスの上縁より4センチぐらいの高さからグラスの底の中央に勢いよく注いで泡立て、しだいにゆっくり注いで大きい泡が消えて細かい泡が盛り上がるようにする。盛り上がった泡のトップがグラスの縁をわずかに越えたとき、ビールが7割、泡が3割ぐらいになるように注ぐのが理想的である。やがて、グラスの泡がやや静まり沈んだところで、その泡の真ん中にビールを少量ずつゆっくりと注ぎ足して泡を盛り上げるのが「2度注ぎ」であり、もう一度注ぎ足すのを「三度注ぎ」と言う。
泡を上唇で抑えて泡の下からビールをごくごくと飲んで喉こしの良さを楽しむのがよい。飲み干したグラスの内側に白いレース状の泡のリング(エンジェルリングと言う)が何本か残れば最高である。 ビールをお酌してもらうとき、グラスを少し傾けて差し出すのはグラスから泡が溢れてお姐さんの着物を汚さないようにという心配りから始まった習慣だと言うが、テーブルで会食する今日では無用のことになった。それよりも、グラスになみなみとお酌しようとしないで、7分ぐらい注ぐつもりで勢いよく泡立てて注ぐのがよい。それなら泡も溢れず、泡が消えぬうちに一口か二口で飲み干せるからである。


 



<目次>
はじめに ビールをおいしく飲むために

第1章 ビールのおいしさの秘密
1.ビールのおいしさは「ごくごく」「ぷふぁー」
2.生ビールはなぜおいしいのか
3.ビールが「ほろ苦い」のはなぜか
4.ビールはよく泡立てて注ぐとおいしい 
5.ビールの味を決める麦芽、ホップ、酵母
6.ビールのおいしさを官能検査する
7.軽くすっきりしたビールが流行する

第2章 ビールと日本人の暮らし
1.ビールを初体験した感想は「麦酒は苦い」
2.日本のビール 事始め
3.岩倉使節団がイギリスでビール工場を視察して驚く
4.横浜に日本最初のビール工場ができた
5.ビールを国産化しようと苦闘した男たち
6・ビールの泡のように消えた明治の地ビール
7.ビールは列車に乗って全国に広まる
8.戦争はビールの需要を拡大した
9.ビヤホールものがたり
10.第二次大戦後にビールが大躍進した
11.2DKの食事にはビールがよく似合う
12.日本のビールにルネサンスが到来した
13.ビールを楽しめるビヤヴィレッジ

第3章 世界のビール 5000年の旅
1.ビールが誕生したのは5000年の昔
2.パンからビールをつくった古代エジプト人
3.ゲルマン人のビールは主婦の手作り
4.修道院でのビールづくり
5.ベルギーに今も残る中世のビール
6.ハーブを効かせたグルートビール
7.ホップに出会って華麗に変身したビール
8.ビール職人のブラウマイスター修行
9.ビール醸造の守護神、ガンブリヌス
10.ビールは液体のパンであった
11.ビール王国ドイツの始まり
12.ドイツでラガービールが誕生した
13.ラガービールの大傑作、ピルスナービール
14.ビールの祭典、オクトーバーフェスト
15.ビール醸造を研究した偉大な科学者たち
16。ロンドンの名物、パブでエールを飲む
17.イギリスのペールエール、ポーターとスタウト
18.ジン横丁とビール大通り
19.ビール醸造所に起きた産業革命
20.伝統のエールの衰退が激しい
21.メイフラワー号に積まれて新大陸に渡ったビール
22.新天地でビール産業を興したドイツ人醸造家たち
23.アメリカンラガーはこうして生まれた
24.ライトビールの大流行とマイクロブルワリーの復活

第4章 最近気になるビールの話題
1.ビールの消費量が減少してきた
2.酔いの医学について
3.適度に飲めば健康を増進する
4.適量飲酒は守られているか
5.ノンアルコールビールがよく売れる
6.「ビールを飲むと太る」は誤解である
7.ビールの利尿作用
8.ビールのプリン体は気にしなくてもよい
9.発泡酒、第3のビールはビールでないのか
10.発泡酒や第3のビールはなぜ安い

おいしい豆知識
世界のビールの分類/世界各国のビールの名称/ビールを使ったカクテル

おわりに 1杯のビールに勝るものはない

 

下部枠線
Wedge最新号のご案内
2016年8月号

2016年8月号
(7月20日発売)

特集
ドローンが起こす 空の産業革命

»詳細を見る

ひととき最新号のご案内
2016年8月号

2016年8月号

特集
【創刊十五周年記念特集】数でめぐる京都

»詳細を見る

下部枠線
WEDGEInfinity へ
「ウェッジの書籍」の内容は、WEBマガジン「WEDGEInfinity」にて一部を読むことができます。
下部枠線