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試練は女のダイヤモンド
吉永みち子 著

目次 立ち読み

 

テレビのコメンテーターとしてもおなじみの吉永みち子さんは、稀代の聞き上手。東海道・山陽新幹線のグリーン車に搭載されている旅の月刊誌「ひととき」で、吉永さんが長年にわたり連載している人物インタビューのなかから女性が登場した回をセレクト、彼女たちが吉永さんに語った、人生の大きな転機となった「ある時期」の話をまとめました。
「女性の時代」などといわれて久しいですが、女性の生き方や働き方、また自分らしい生き方を選び取るための環境には今なお厳しいものがあります。30代から90代まで年齢も活躍するジャンルもさまざまな女性たちの、生きざまをとらえたインタビューは、きっと今を生きる女性たちへの応援歌となるはずです。
★「本TUBE」で著者インタビュー公開中!
http://hon-tube.com/?mv=1117

<書籍データ>
◇四六判並製 280ページ
◇定価:本体1,500円+税
◇2016年1月20日発売
◇ISBN: 978-4-86310-159-3

<著者プロフィール>
ノンフィクション作家。1950年、埼玉県生まれ。1972年、東京外国語大学インドネシア語学科卒。競馬専門紙「勝馬」、夕刊紙「日刊ゲンダイ」の記者を経て1978年退社。5年の専業主婦の後、1983年JRA機関紙「優駿」の『優駿エッセイ賞』を受賞。1985年には『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。現在、テレビ朝日系「モーニングバード」金曜日レギュラー。
 

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<立ち読み>

 

二〇一〇(平成二十二)年二月二十七日。寺島しのぶは、大阪のシアターBRAVA!で蜷川幸雄演出の「血は立ったまま眠っている」の舞台に立っていた。六日前の二十一日、第六十回ベルリン国際映画祭の授賞式が行われ、若松孝二監督の「キャタピラー」の演技で、左幸子、田中絹代に続き日本人として三人目、三十五年ぶりに最優秀女優賞にあたる銀熊賞を受賞。「シノブ・テラジマ!」とその名が高らかに響いた会場に、芝居の初日のために帰国していた寺島の姿はなかった。そしてこの日、共演者によって日本に持ち帰られた銀色の熊の形をしたトロフィーを初めて手にした寺島は、銀の熊にキスすると、次の瞬間、ガンと力強くトロフィーを前に突き出した。下唇を歯で噛んだいたずらっ子のような表情から、「やったぜ! どうだまいったか!」という声が聞こえるような……女優としての喜びを超えて、人間としての無垢な歓びが心に響くような表情。寺島のこれまでの道のりが凝縮された、生々しく真剣な瞬間の感情に触れたように感じられた。
「本当にうれしかったです。もう卑屈になることはないんだよ、大丈夫だよって神様に言ってもらえたようなうれしさ。自分はダメな人間だ、否定されている、と思う時代が長くて、ずっとダメじゃないんだよって認めてもらいたかった。寺島しのぶという人間がいましたとさって、わかってもらいたかった。これで完全に、自分の中にまだ残っていた劣等感から解放されたと思ったんです。こんな歳になってからかって思うけど、振り返るとすべてがここに来るのにお膳立てされていたのかもしれないなあとも思います」
女優・寺島しのぶは、日本アカデミー賞主演女優賞、東京国際映画祭優秀女優賞など数々の賞を獲得し、舞台でも朝日舞台芸術賞、読売演劇大賞最優秀女優賞など多数の賞を受賞。その演技力はすでに高く評価されているし、誰もが、その存在を十分に知っている。それでもなお「私はここにいる」と存在を知ってもらいたいと叫んでいたのは、一人の女性としての寺嶋忍だったのだろうか。銀熊賞がもたらしたのは、女優・寺島しのぶと三十七歳の女性・寺嶋忍がやっと重なった限りない安堵感と解放感。そう考えると、トロフィーにキスした女優の笑顔を突き破るように現れた無邪気で無防備な表情に、寺島の生きてきた年月の切なさや、もがきの深さが垣間見えるような気がしてくる。
――寺島しのぶインタビュー「生身の現実を生きる」より

 


 



<目次>

第1章 世界とたたかう、世界と遊ぶ
  寺島しのぶ(女優)
  生身の現実を演じる

  上原ひろみ(ジャズピアニスト) 
  努力、根性、気合!

  奈良橋陽子(演出家、キャスティングディレクター) 
  ポジティブエネルギーの源

  由紀さおり(歌手)
  集大成ではなく挑戦

  三ツ橋敬子(指揮者)
  すべての時間を音楽に

第2章 わたしの道は、わたしがつくる
  岩井希久子(絵画保存修復家)
  声なき声を聞く

  原由美子(スタイリスト)
  潔い決断

  浅草ゆう子(芸者)
  自らの心に叶う道

  田中ウルヴェ京(メンタルトレーナー)
  本当の自分を知ること

  万亀子イスカンダール(旅行会社社長)
  ピンチはチャンス

  分山貴美子(口笛奏者)
  出会いは楽しい

第3章 まわり道だって、かまわない
  宮川花子(漫才師)
  私って、なんて強いんや!

  笹原留似子(復元納棺士)
  いま生きていることを意識する

  恩田侑布子(俳人)
  自分が変わることが唯一の道

  橋場悦子(腕時計組立職人)
  強い意志

  六車由実(介護福祉士、民俗研究者)
  周囲の承認より大事なこと

第4章 好き、をいちばん大事にしよう
  石川さゆり(歌手)
  芸能者の本能

  柿沢安耶(パティシェ)
  本気で野菜と向き合う

  竹宮惠子(漫画家、京都精華大学学長)
  大学は巨大なトキワ荘

  長谷川祐子(キュレーター)
  アドレナリン出まくりの体験

  草笛光子(女優)
  正直でまっしぐらな生き方

あとがき――四月八日のこと

 

 

 

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