昨年、大きな話題を振りまきましたが、「使えない」「損した」と言われている家電にスマートスピーカーがあります。理由はいろいろありますが、多いのは「何に使えるのかが、わからない」ということ。スマートスピーカーの大きな目的はスマートホームを音声で動かすことですが、このスマートホームは黎明期である上、人によって考え方が異なります。まだ「この機能があればスマートホームだ」と定められていないわけです。スマートホームが見えないと、スマートスピーカーの理想的な使い方も見えないわけです。
今年に入り、システムの受け手である「不動産業」の方が魅力アップのため、従来の住宅をIoT化、付加価値を付けて販売する動きが表立ってきています。今回は、その中でも成果がでているとされる「TATERU Apartment(タテルアパートメント)」のIoTモデルルームに行き、スマートホーム機能を体感してきました。
TATERUは、不動産に特化したプラットフォームの開発・運用、クラウドサービスの提供、デザインアパートメントの企画、運用を行う会社です。今回のプロジェクトはIoTを導入、普通のアパートをスマート化し、より魅力的なアパートにしようというわけです。
まずはドアです。自社開発のスマートロックがセットされており、通常の「鍵」に加え「アプリ」「テンキー」「交通系ICカード」で解錠できます。今回は、ICカードで「チャッ」と開けました。
扉を開けて、室内へ。
「アレクサ、ただいま」
と言うと「照明」が、「エアコン」が、そして「テレビ」が作動します。これがスマートハウスを構成する「kit」の機能の一部です。
IoTサービスの実際
どうなっているのか、ちょっと細かく見てみましょう。
まず玄関。今回は解錠しただけですが IoT化することにより、いろいろなサービスが期待されています。TATERUも、今回のスマートロックだけでなく、TATERU kit HOME ENTRANCEを開発しております。特に期待されるのは「宅配サービス」でしょう。
TATERU kit HOME ENTRANCEを導入すると、不在時、宅配業者がくると入居者のスマホのアプリへ通知されます。入居者はアプリで受話応答し、スマートロックを遠隔解錠します。そして設置されたネットワークカメラにより、リアルタイムで映像をキャッチ。必要に応じた、細かい指示を業者に出します。あとはアプリで施錠します(オートロック設定も可能です)。また、ルームエントランス部の物理的に侵入できる部分を限定する(不在時、玄関に通じるドアに施錠すると玄関部は独立したスペースになります)ことにより、セキュリティー強化も可能です。
次に入室後の一連の動作。これには標準装備のAmazon Echo(アマゾン エコー。以下エコー)の「定型アクション」が使われます。これは「ただいま」などのワードに、家電を動かすスキルを複数登録し、一括操作するというものです。しかしAmazon Echoは、Amazon Echoに完全対応した家電でない限り、動かすことはできません。アパートに標準で装備される照明、エアコンはともかく、個人所有のテレビは対応していない可能性もあります。
kitは、そんなことにもちゃんと対応しています。「ただいま」という言葉を聞くと、まずそれはAmazonのクラウドにつながれます。そこで家電への操作指示に変換されます。操作指示は、そこからTATERUのクラウドに飛び、そしてスマートハウスホームIoTアパートに設置されたセントラル コントローラーとなるタブレット型ゲートウェイ(商品名:CENTRAL CONTROLLER。3万円(税抜))に行きます。ここまではWi-Fi接続。しかし家電の多くは、Wi-Fi接続できません。このためセントラル コントローラーから操作指示ネイチャー センサー リモコン(商品名:NATURE SENSOR REMOTE CONTROLLER、1万3000円(税抜)に行きます。このコントローラーは、この指示を赤外線にします。要するに学習リモコンと同じ働きをします。かくして古い家電も、号令一下動かすことができるのです。
またネイチャー センサー リモコン内には、温度センサーと湿度センサーが入っています。今は、室内の温湿度をセンシングするだけですが、そのうち、エアコンの逆側に設置され、エアコンのセンサーと連携させよりうまく部屋の空気環境をコントロールできるようになると考えられます。
また、帰宅=テレビを見るわけではないという人は、Amazon Echoの定型アクションにテレビを入れなければいいわけです。ネイチャー センサー リモコンにより、いろいろなことができるようになります。
加えて、カーテンの開け閉め、ガラスサッシが開いた時のお知らせなどができます。