2021年に日本が提案する国際規格化との関係
今、IoTのセキュリティに関しては、国際規格はありません。米国でメインに使われている規格と、日本政府が推進したホーム・エネルギー・マネージメント・システム(HEMS)では、家電とネットをWi-Fiつなぐのは同じとしても、セキュリティだけでなく、使用するプロトコル他、いろいろと違います。
このため、経済産業省は情報処理学会などと連携し、IoTを安全に導入・運用するための指針「IoTセキュリティガイドライン」の国際標準化に乗り出したわけです。2018年10月をめどに、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)に概要版を提出する計画で、2022年度末までの規格発行を目指すそうです。
また、政府は2020年に、日本の新築の標準ハウスをゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH。ゼッチと読みます)にしたい考えです。その必要とされるシステムがHEMSです。今回のセキュリティー規格は、それを踏まえたモノになると考えられます。
しかし「TATERU kit」も含め、今、立ち上がりつつあるスマートホームは、今ある技術を上手く組み合わせてユーザーに提示しています。決してHEMSのような全てWiFiで接続するといった理想論から出てきたわけではありません。それだけに極めて実践的で、役に立ちやすいです。この2つは共にIoTと表現されながらも、かなり違います。
IoTビジネスは、誰が牽引するのか?
次のIoT化はどうなって行くのでしょうか?
今回取材していて思ったのは、家電ではなく名前の通り「ホーム」、つまり建物を扱うところがメインプレーヤーになるんだということです。当たり前のように感じられるかもしれませんが、過去、余り例がありません。HEMSなどは、家電は家電メーカーが宣伝していましたし、電気は電力会社、通信は通信会社と別々のビジネスを展開していました。
ところが、今回の取材で改めて感じたのは、スマートハウスは「サービスをまとめること」「接続など面倒なことなく、結果を享受できる」ようにしなければ商材としてなりたたないということです。
スマートロックなどは、昨日今日発売されたものではありません。が、ブームになっているという話しは聞きませんし、見守りサービスも契約数が飛躍的に伸びているという話しは聞きません。考えてみると、IoTサービスを一件、一件、個々に結ぶなどということは割と面倒で、家という単位でまとめてくれると非常に対応しやすいわけです。しかも、彼らは家インフラの保全は業務の内ですから、トラブル、メンテナンスも対応してくれます。IoTサービスをベーシックインフラと考えた時、かなりいい感じです。
では、家電メーカーの出番はないかというと、私はこれからだと思っています。
IoTのうち、「自動(セットすれば、その家事を終えてくれる機能。ロボット掃除機は、その好例)、「連携(例えば空調は、エアコンに加湿機能は基本ない。湿度コントロールするためには、加湿機とエアコンが連動することが必要)」は、家電メーカーの力が不可欠です。
今回のように、不動産、建築会社がIoTに動くと、IoTの目玉、スマートホームも本当の意味で黎明期から、普及期に入って行くように思います。