2026年2月7日(土)

Wedge REPORT

2026年2月7日

台北市と台湾海峡が写る衛星画像(FrankRamspott/gettyimages)

 台湾海峡が止まると、何が止まるのか。

 多くの人は半導体を思い浮かべるだろう。しかし実際に最初に崩れるのは、もっと身近で、もっと生活に直結した領域である。給食、介護、中食――日本の「日常」を支えるインフラが、わずか数週間で機能不全に陥る。

 冷凍野菜の在庫は、外食・中食で7〜14日しか持たない。台湾海峡が止まって10日もすれば、コンビニ弁当からブロッコリーが消える。

 21〜30日で学校給食がメニュー変更を公表し、彩りが消え、副菜が減る。介護施設では刻み食・ミキサー食の素材が不足し、栄養管理が破綻し始める。これは“栄養の問題”ではない。

 医療・介護保険制度の機能不全を意味する。

0〜90日で何が起きるのか ― 時系列で見る“生活の崩壊”

出所:外食・中食業界情報、財務省貿易統計等をもとに筆者作成 写真を拡大

 この表が示すのは、軍事衝突の話ではない。日常の大切な「生活が止まる」までの時間軸である。

 冷凍野菜は、家庭用よりも業務用の比率が圧倒的に高い。日本経済新聞記事(2025年4月17日)によると、インバウンドで飲食店やホテルでは訪日外国人数が増加する一方、接客・調理にあたる人材の採用難が続いているという。 

 今後の国民感情により外国人を雇う環境が厳しくなるのであれば、さらに人手不足によって従業員1人当たりの業務量が増える中、従来の手作りから置き換えたり、下ごしらえを簡素化したりすることで調理時間を圧縮するしかないという。 味品質を均一化できる冷凍食品の需要が拡大しているなか、食品メーカーも工夫をして新商品を提供していく構図である。

 外食産業だけではない。 学校給食、介護施設、病院、コンビニ弁当――日本の“日常”は冷凍野菜に支えられている。

 その多くが中国依存である以上、台湾海峡の混乱は、数週間で生活の根幹を揺るがす。

医薬品も同時に止まる ― “二重の脆弱性”

 そして問題は、食だけでは終わらない。

 医薬品もまた、海外依存が高く、特に抗生物質など基礎的な薬ほど国内だけでは賄えない構造になっている。

 一部の薬の在庫は2〜3カ月で枯渇するものもあるのではないか。ジェネリック工場のGMP違反が相次ぎ、国内生産能力はすでに限界に近い。台湾海峡が止まれば、食と薬が“同時に”止まる。

 生活インフラの脆弱性は、軍事よりも生活に先に現れる。そしてその影響は、自炊できない層――子ども、高齢者、単身労働者――に最も重くのしかかる。


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