イラン戦争は開戦から3週目に入ったが、収拾どころか周辺諸国に戦火が拡大。ペルシャ湾のホルムズ海峡をイランが封鎖し、世界経済は大きな打撃を受けた。
米国のトランプ大統領はイランの頑強な抵抗の前に引き際を失いつつある。腹をくくったイランのモジタバ政権は石油を“人質”に取る戦略だ。米国の意に反し、イランの核武装に拍車がかかるとの見方が強まっている。
“ルビコン河”渡る
殺害された実父ハメネイ師の後継の最高指導者として選出されたモジタバ師は3月12日、初の声明を発表。自衛権の行使として米国とイスラエルへの報復攻撃や石油の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖を続ける意向を明確にした。この時点でイランがトランプ大統領に屈服する可能性は消え、戦争長期化の方向性が定まった。
モジタバ師は父親が殺害された時に自身も負傷したといわれ、声明の発表も国営放送のアナウンサーが代読した。負傷の程度は明らかではないが、「容姿が損なわれた」(ヘグセス米国防長官)といわれる。自身も暗殺されるのを恐れて身を隠しているとみられているが、重傷を負った可能性もある。
イランは2005年、ハメネイ師が核兵器を製造しないというファトワ(宗教命令)を出し、核開発について「権利を保有するが、核爆弾の製造はしない」ことが基本政策になった。トランプ大統領は今回「イランに核兵器を持たせない」ことを理由の一つとして攻撃に踏み切ったが、その目標とは真逆の結果となる公算が強い。イランの核兵器計画に拍車がかかるというのだ。
イランには選択肢が2つあった。1つは核兵器開発を完全に断念すること、もう1つは核開発計画を急ぐことだ。だが、最高指導者まで殺害されるという攻撃で、誇り高いペルシャ人の民族の尊厳が傷付けられ、モジタバ師や革命防衛隊の反米、反イスラエル感情が極限まで高まった。
