2026年3月18日(水)

教養としての中東情勢

2026年3月18日

自らまいた種の尻拭いをさせる

 イスラエルの甘言に乗って攻撃に踏み切ったトランプ大統領の焦りの色は濃い。米メディアなどによると、大統領は当初、イラン攻撃を11月の中間選挙を有利に運ぶための道具に使おうとした。早期に軍事的勝利を一方的に宣言し、ベネズエラに続いて圧勝したことを有権者にアピールすることを狙った。

 だからイスラエルがテヘランの石油基地を空爆し、大災害が起きた時、イスラエル側に「なんてことをしてくれたんだ」(中東専門家)と大統領の側近らが文句を付けた。燃え上がる基地の様子が世界に流れることで石油価格急騰に直結することを恐れたためだ。

 だが、現実は徹底抗戦のイランの前に泥沼の戦いに引きずり込まれ、開戦から3週間目に入る中で、簡単には足を抜けなくなった。イスラエルに注文を付けておきながら自らもイランの石油積み出し基地のカーグ島を爆撃せざるを得なくなった。「イランの湾岸産油国への反撃にショックを受けた」と甘い見通しを認めた。トランプ大統領の思惑は狂い、イライラは募る一方だ。

 大統領はホルムズ海峡の航行に二の足を踏むタンカーの乗組員らに「根性を見せろ。怖がることは何もない」などと強硬突破をけしかけた。イランの指導者らを「狂ったくずども」と罵倒、英国の空母派遣の提案やウクライナのゼレンスキー大統領のドローン対策支援の持ち掛けを突っぱねた。「冷静な判断ができなくなっているのではないか」との憶測が出始めている。

 トランプ大統領は3月14日、日本をはじめ、英国、フランス、中国、韓国などにホルムズ海峡の安全を確保するために艦船を派遣するよう期待を表明した。事実上の要求だ。

「自分で蒔いた種の尻拭いをさせる」つもりだろう。19日に訪米して大統領と首脳会談する日本の高市早苗首相は大きなリスクを背負うことになった。

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