クマの冬眠シーズンが明け、すでに全国各地で目撃情報が相次いでいる。人的被害が過去最多であった昨年度に続き、クマが街中を駆け巡る懸念が広がる中、地域や自治体では、猟銃訓練や対応策の教室などが開かれている。
ただ、こうした対策は一朝一夕にはいかない。クマが出没する前に講じるべきこともある。そもそも、人間とクマがどう暮らしていくのか、という問題にもなっている。
人口減少の中で増えていく野生動物にどう向き合っていくのか。編集部が激選した記事5本を紹介する。
<目次>
・【弾が心臓を貫通しても数百メートル走ったヒグマ】求められる真のクマ対策とは?〈緊迫するクマ問題ー前編-〉(2025/12/25)
・【クマを見つけたら動くなよ、動くと襲ってくるぞ】密着!狩猟の現場とハンターの矜持〈緊迫するクマ問題ー後編-〉(2025/12/26)
・ハンターは減っている?クマ問題に欠かせない人材の実情、駆除数は増えるも極めて厳しい現場(2025/12/15)
・元陸自の秋田県知事がクマ対策で自衛隊派遣を要望した理由…住民の不安は解消できるのか?(2025/11/10)
・ヒグマ駆除は米軍の特殊部隊と戦うようなもの!迫り来るクマの脅威…ドングリの凶作だけが原因か?人間が心得るべきこと(2025/08/25)
【弾が心臓を貫通しても数百メートル走ったヒグマ】求められる真のクマ対策とは?〈緊迫するクマ問題ー前編-〉
「いつかこうなると思っていた。13人も亡くなれば、もう『災害』だ」
北海道と東北地方を中心にクマとの軋轢が相次いだ2025年。NPO法人南知床・ヒグマ情報センターの藤本靖さんは、一連の騒動を振り返り、こう続ける。
「秋田県への自衛隊投入も、まるでそれが『最後の手段』であるかのように伝える報道が目立ったが、現場を知る立場からすれば、自衛隊を投入しても住民の安全は守れない」
自衛隊の本来任務は「訓練」であり、〝便利使い〟されるのは当然望ましくないことでもある……
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【クマを見つけたら動くなよ、動くと襲ってくるぞ】密着!狩猟の現場とハンターの矜持〈緊迫するクマ問題ー後編-〉
「クマを見たら動くなよ。見つけたら、木の陰に隠れてじっと待て。動くと、襲ってくるぞ」
11月30日、午前6時30分。長野県・東信エリアの集合場所に小誌取材班が到着すると、メンバー全員から〝親方〟と慕われる楢原繁則さん(77歳)にこう忠告された。楢原さんの眼光は鋭く、これから足を踏み入れる場所が、死と隣り合わせの危険地帯であることを痛感させられた。
この日行われたのは、クマの「巻き狩り」である。獣を追い込む「セコ」と、それを迎え撃つ「タツマ」とに役割を分けて狩猟に臨む。
取材班は二手に分かれ、「セコ」で小諸市農林課に勤務する櫻井優祐さん(40歳)と「タツマ」で団体役員の田中直樹さん(42歳)に密着取材することにした……
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ハンターは減っている?クマ問題に欠かせない人材の実情、駆除数は増えるも極めて厳しい現場
2025年はクマの人里出没に振り回された1年だった。近年はシカやイノシシの獣害が問題になっていたが、人身被害を含むクマの出没は、日本の野生動物管理が抜き差しならない状況になってきたことを知らしめる役割を果たしたかと思う。
そして野生動物の管理にはハンターが欠かせない存在であることに気づかされた。獣害対策には「予防」も「防御」も重要だが、やはり最後の砦は「駆除」なのである。そのためにはハンターが欠かせない。だがハンターとはどんな立ち位置にあり、現状はどうなっているのか。その点をひもといてみた。
ハンターとは、一言で言えば狩猟免許を持っている人だ。その狩猟免許保持者は、減り続けているとされる……
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元陸自の秋田県知事がクマ対策で自衛隊派遣を要望した理由…住民の不安は解消できるのか?
自衛隊が、秋田県知事からの要請に応じてクマ被害防止への協力を開始した。この協力は、昨今のクマによる被害増大に対する自治体の対応が限界に達しているとの判断に基づき、緊急避難的に行われるものだ。まずは、自衛隊の協力によって自治体のクマ対策が効果を挙げ、地域住民の不安が緩和されることを願ってやまない。
とはいえ、例え住民の不安が緩和されたとしても、それで物事を終わらせてはならない。まず、今後も予想されるクマ被害に対する自治体の対応力を強化することが先決だが、同時に、自衛隊によるクマ被害防止への協力を自治体の危機管理体制への警鐘であると認識し、これを改善する取り組みも必要だ。
言うまでも無く、クマ被害防止は自治体の業務であり、一般的には自衛隊が担うべき業務ではない。これは、元陸上自衛官である秋田県知事も十分に理解しているはずだ……
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ヒグマ駆除は米軍の特殊部隊と戦うようなもの!迫り来るクマの脅威…ドングリの凶作だけが原因か?人間が心得るべきこと
北海道南部地域の福島町で2025年7月12日、新聞配達中の男性がヒグマに襲われて死亡した。その後に駆除されヒグマがDNA鑑定によって「加害個体」であることが特定され、4年前に町内で女性を死亡させた個体と同一だったことも判明した。
現在(25年8月2日時点)、道庁による「北海道ヒグマ注意報」が福島町、上ノ国町、平取町の一部地域、砂川市に発出されている。ツキノワグマによる人身事故人数(25年7月末時点の環境省による速報値)は、岩手県12人(死者1人)、長野県13人(死者1人)をはじめ16県で53人におよぶ。8月に入っても連日のようにクマ出没の報道がなされ、人の生活圏への出没が異状現象ではなく、もはや日常となっている。
この背景として、餌の凶作などが挙げられているが、注目すべきはそもそものクマ類の個体数が増え(、分布も拡大し)ていることだ。対策の基本的な考え方は人の生活圏とクマ類の生息域を区分(ゾーニング)し、すみ分けを図っていくこととされているのだが、維持すべき個体数水準を定めて、個体群管理を実施しているのは都道府県で兵庫県に限られている……
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