フリードリヒ・メルツ首相は4月13日のベルリンでの記者会見で、ガソリンとディーゼル・エンジン用軽油にかけられているエネルギー税(鉱油税)を、5月1日から2カ月にわたって1リッター当たり17セント(31.6円・1ユーロ=186円換算)引き下げると発表した。現在ガソリンのエネルギー税率は1リッター当たり65.45セント(121.7円)、軽油では47.04セント(88.0円)である。
連邦政府はこの措置のために16億ユーロ(2976億円)を投じる。メルツ首相は、「我々はこの措置によって、自動車を使う人々、そして企業の状態を改善する。燃料販売企業は、エネルギー税の引き下げ額を市民に分配してほしい」と訴えた。
またメルツ首相は、企業が社員に対して税金・社会保険料を差し引かずに「インフレ特別ボーナス」として手取り1000ユーロ(18万6000円)を支払うことも可能にすると語った。ボーナスを払うかどうかは、企業経営者の判断に任される。この措置によって連邦政府の税収が減るが、煙草税を引き上げることによって穴埋めする。
またメルツ政権は4月1日に新しい法律を施行させ、給油所の燃料価格の引き上げを1日1回、正午だけに限るという措置を取った。その理由は、給油所の価格が1日に20回も変更されるケースが見られたからだ。
軽油価格が一時約40%上昇
ドイツの自動車燃料の価格はイラン戦争勃発後、急上昇した。ドライバー組織ドイツ自動車クラブ(ADAC)によると、ディーゼル・エンジン用軽油の1リッター当たりの価格は開戦前の2月27日には1.746ユーロ(324.8円)だったが、4月7日には40.1%上昇して2.447ユーロ(455.1円)の過去最高値を記録した。同じ時期にガソリン価格(スーパーE10)は、1.778ユーロ(330.7円)から2.188ユーロ(407.0円)に23.1%上昇した。
しかもドイツは欧州で自動車燃料の価格が最も高い国の一つだ。連邦統計局によると、4月13日の時点でドイツのガソリン(ユーロスーパー95)のリッター価格は2.14ユーロで、オランダ、デンマークに次ぎ、欧州連合(EU)加盟27カ国の中で3番目に高かった。
ディーゼル・エンジン用の軽油もEUで6番目に高い。その理由は、ドイツが2021年以来自動車と暖房用の燃料に炭素税を課しているからだ。
この国では就業者の約60%が、毎日車で自宅と職場の間を往復している。今年1月にドイツで走っていた乗用車4950万台の内、59.3%がガソリン・エンジン、27%がディーゼル・エンジンを搭載している。それだけに燃料価格の高騰は多くの市民にとって頭痛の種だ。
