米ジョンズホプキンス大学特別教授のセルゲイ・ラドチェンコが、Foreign Policy誌(web版)に3月30日付けで掲載された論説記事で、「油価の高騰や制裁の一時的解除などがあっても、イラン戦争がロシアにとって有利に働くという見方は一面的に過ぎる。実際にはグローバルな影響力を失うなど、ロシアは大きな地政学的損失を被っている」と論じている。要旨は次の通り。
イラン戦争はロシアに有利に働くという見方がある。米国の注意と資源が中東に向けられることで、プーチン大統領はウクライナでの戦争を遂行しやすくなるだろう。
原油価格の高騰はクレムリンの財源を潤す。ロシア産原油に対する制裁の一時的解除は、ロシアがこの新たな戦争から利益を得ていることを示す一例だ。
しかし、事態はもっと複雑だ。強硬な米国の外交政策は、ロシアの弱さと影響力の低下を露呈させた。モスクワはシリアやベネズエラを救うことができなかったように、イランを支援することもできていない。ロシア政権はグローバルな影響力を失い、傍観者の立場に追いやられている。
ほんの数年前まで状況は全く異なっていた。2022年のプーチンによるウクライナ侵攻後、イランはロシアにシャヘド無人機を供給し始め、ロシアはこれをウクライナの都市攻撃に即座に使用した。23年7月には、ロシアの強い要請により、イランは反自由主義的ブロックの典型例とも言える上海協力機構(SCO)に加盟した。
25年1月には、ロシアとイランは戦略的パートナーシップ協定を締結した。ロシア、イラン、中国、北朝鮮を、ルールに基づく国際秩序の基礎を侵食しようとする「騒乱の枢軸」と呼ぶ者もいる。
クレムリンを最も動揺させたのは、米国による敵対国に対する露骨で容赦のない武力行使であった。プーチンはこれまでウクライナ侵攻の言い訳を巧妙にでっち上げ、世論を混乱させ、侵略の責任を転嫁するために偽旗作戦を常套手段としてきた。しかしトランプは行動を起こすと決め、実行に移した。
