2026年5月29日(金)

Wedge REPORT

2026年5月29日

 子育てをしながら働いたり学んだりする保護者やビジネスパーソンにとって、学童保育は必要不可欠な公共の児童福祉サービスとなりつつある。その学童保育の運営面はあまり注目を集めていないが、今、産業化の大波にすっかり飲み込まれてしまっている。

(paylessimages/gettyimages)

 なお本稿では、児童福祉法が定める放課後児童健全育成事業を実施している施設を示す「放課後児童クラブ」を、一般的な通称の学童保育(所)または学童と表記する。放課後児童健全育成事業ではない、いわゆる「民間学童保育」とは異なるとする。

学童保育の産業化とは

 学童保育全般の状況としては待機児童数が高止まりの状態が続いている。国が毎年5月1日時点で調査し公表している実施状況に基づくと、全国の小学生(義務教育学校含む)の約4人に1人が学童保育を利用し、小学1年生では2人に1人が学童保育を利用している計算となる。

 小1のこどもが学童待機児童となる問題は「小1の壁」と言われ、国はその解消に取り組んできたものの、今なお待機児童数は約1万6000人と、保育所の約2250人をはるかに上回っている。もっとも地域によっては待機児童を出さない方針の自治体もある。

 放課後児童健全育成事業は市町村が行う公の事業であるが、民間も届出によって実施できる。学童施設を設置する組織を「設置主体」と呼ぶ。市町村等が設置主体である「公立(公設とも)」の施設と民間が設置主体である「民立(民設とも)」の施設の二種類に分けられる。

 学童保育事業を営む組織を「運営主体」と呼ぶ。市町村等が運営主体の場合は「公営」となり民間が運営主体なら「民営」となる。この組み合わせで学童は「公立公営」「公立民営」「民立民営」の3種類に区分できる。

 学童保育の産業化とはどういうことか。筆者が考えるに2つの局面がある。1つ目は、設置主体が市町村等である学童で、その運営主体が学童保育事業から利益を得ることを追求している事業者が増えていること。2つ目は、設置主体も運営主体も民間事業者で、事業者が独自の運営内容を掲げて入所者を集める施設が増えていること。

 前者は公事業である放課後児童健全育成事業のアウトソーシングそのものであって、後者は放課後児童健全育成事業であるかどうかはさておき、学習塾やスポーツクラブに近い業態といえる。

 学童保育の産業化にまつわる問題はこのアウトソーシング化が急速に進んでいることで拡大している。3年や5年の一定期間、学童を運営する事業者を自治体が公募で決める仕組みが常態化しており、相次いで公営学童や保護者が運営する学童の運営主体が、学童運営を得意とする事業者に移り替わっている。


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