アカデミー賞の授賞式がまた物議を醸している。司会者の軽率な発言からの暴力沙汰や、白人ばかりのあまりに白すぎる授賞式批判など、例年なんらかの議論を呼んできたアカデミー賞であるが、今年の場合は、助演男優賞を受賞したロバート・ダウニーjrと主演女優賞を受賞したエマ・ストーンの授賞式での振る舞いが人種差別的であるということでSNSを中心に大きな問題となった。
アジア系への差別を指摘
ロバート・ダウニーjrは、昨年の受賞者であるキー・ホイ・クァンからオスカー像を受け取るときに、目も合わさず、まるでウエイターからグラスでも受け取る様にただオスカー像を手にした一方で、壇上に居た他の男優たちとは喜びを分かち合い、目を合わせてグータッチをするなど挨拶を交わした。エマ・ストーンも、昨年の受賞者であるミシェル・ヨーからオスカー像を受け取るとき、目も合わさず、オスカー像を握るとミッシェル・ヨーごと隣のジェニファー・ローレンスのところまでもっていき、ローレンスから受け取り、ハグをし、更にその隣のサリー・フィールドともハグするなどした。
ただの無礼に見えるこれらの行為は、キー・ホイ・クァンがベトナム系、ミッシェル・ヨーが中国系マレーシア人、すなわち二人がアジア系であることから、アジア系に対する人種差別ではないかとされたのである。確かにロバート・ダウニーjrは、キー・ホイ・クァンをあたかもパーティの参加者ではなく、アジア系のウエイターとしてその場にいるかのように扱っているように見える。また、エマ・ストーンも、ミッシェル・ヨーのもつオスカー像を握り、隣のジェニファー・ローレンスのところまでもっていく様はかなり強引であり、ミシェルをないがしろにしているように見えた。
批判はアカデミー側にも向かった。前年の受賞者だけがプレゼンターとして壇上にいることが通例なのに、なぜ今年は、5人も過去の受賞者が壇上にいたのか。
「真っ白」と批判されたアカデミーが昨年は主演女優賞と助演男優賞という主要な賞をアジア系に受賞させた異例な年であった。そのため、アジア系だけが壇上に立つという時間が長くなるのをアカデミー側が嫌ったのではないかというのである。つまり高視聴率を誇る一大イベントであるアカデミー賞において、華やかな白人俳優たちが中心となって会が進んでいくことを視聴者は望んでいると考えたというのである。