2025年4月23日(水)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2025年4月10日

(SAIGLOBALNT/gettyimages)

『レアメタル資源の新候補、酸素少ない海に 東大など分析』(4月8日付、日経電子版)という記事が配信された。海底資源は、資源に乏しい日本にとって大きな希望である。日本は世界第6位の領海・排他的経済水域(EEZ)を持つ国で、この海域には鉱物資源が存在しているとされる。これらの海洋鉱物資源には、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、レアアース泥などがあり、それぞれに含まれる金属や存在する水深が異なるため、特殊な技術開発が必要となる。

 その中でも特に注目されているのが、南鳥島沖の深海に広がるレアアース泥やマンガン団塊などの開発だ。これは世界最大級の海洋資源とされ、日本にとって大きな期待を寄せられている。

 しかし、この深海6000メートルの環境での資源採掘は、非常に技術的な困難を伴う。必要とされる設備や採掘技術は未だ確立されておらず、実際に資源を引き上げて商業利用するのは容易ではない。採掘コストの問題や環境への影響など、様々な面での懸念も指摘されており、単に技術的な側面だけでなく、経済性や持続可能性の観点からも検討が必要とされている。短期的な資源獲得だけでなく、長期的な視点に立った開発計画の立案が重要になってくると考えられる。

 このように、日本周辺の海洋鉱物資源は大きな期待を集めているが、実用化にはまだ多くの課題が残されている状況だ。

 日本のアカデミアなどもレアアース泥やマンガン団塊の採掘に関する新たな技術開発にも取り組んでいる。研究成果を国内外の学会やシンポジウムで発表し、海洋鉱物資源の重要性やその開発に向けた取り組みを広く周知する努力も行っている。これらの業績は、日本が持つ海洋資源の潜在能力を引き出し、持続可能な資源開発を進める上での基盤となっている。

 南鳥島の海洋開発は、地政学的な観点からも注目されており、日本の産業競争力を高めるための重要な要素となることが期待されている。従って海洋資源の開発における新たな可能性を切り開くものであり、今後も注目されるべき研究であると言えるだろう。

公金の無駄使いに終わらせないために

 日本の海洋鉱物資源開発をめぐっては、様々な公的支援が行われるだろうが、それが無駄使いにならないようにしなければならない。過去10年以上も経済性や環境への影響など、様々な懸念も指摘されている。学術的な意味はあっても、長年にわたって無駄な投資であると指摘する向きも少なくはない。仮に、公金頼みでリスクを取らないという姿勢が取られているのであれば、真の意味での資源開発に資するものではない。

 確かに学術的な意味はあるが、実際の経済合理性からみると、実現性が少ないとみるのが実体ではないだろうか。そうした点では、トランプ大統領が求める、ウクライナのレアアースについても経済合理性があるとは言えない。ただし、ここにはまた別の問題が存在する。


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