出口の見えないイラン戦争に米国内でいらだちと不満が高まり始めている。対外関与より「アメリカ・ファースト」を信条とする保守派の著名人たちからの批判も表面化、トランプ大統領も急遽、「戦争早期終結」発言をするなど、対応めぐり混乱が続いている。
MAGA信奉者からも批判の声
「アメリカが常に世界のあらゆる地域の警察官になろうとするのは大間違いだ」「イランと戦争してもビタ一文何の得にもならない。わが国にとって資源のとてつもない無駄使いだ」「莫大な戦争資源は国内に振り向けるべきだ」
ほかでもない。この言葉は2年前の大統領選当時、「MAGA=Make America Great Again(再び偉大なアメリカを)」の旗振り役を務めてきたJ.D.バンス氏が副大統領候補の選挙公約として打ち出した宣言の一部だ。
そのバンス副大統領は、去る2月28日始まった米軍のイラン奇襲攻撃以来、「わが国は戦争に時間がかかっても、イランの暴力的体制に終止符を打つべきだ」などと、手のひら返しトランプ大統領の主張に沿った発言を続けている。
しかし、その後、他の著名なMAGA信奉者の間からは、今回の対イラン戦争に声高に異を唱える発言が飛び出し、主要メディアも「MAGA支持基盤に亀裂」といった報道があいつぐなど、トランプ政権も対応に苦慮している。
トランプ氏の「無類の親友」とされてきた保守派の代表的コメンテーター、タッカー・カールソン氏は、MAGA運動推進に中心的役割を担ってきた一人だ。そのカールソン氏はイラン攻撃開始の翌日、ABCテレビ番組に出演、その中で以下のように語った。
「イラン攻撃は絶対的に邪悪で、反吐が出るくらい間違いだ。そもそも、この戦争は米国が決定したものではなく、ベンジャミン・ネタニヤフ(イスラエル首相)が下し、トランプをそそのかしたものだ」
カールソン氏は攻撃開始の直前にも、ホワイトハウスを訪問、「イランとの戦争開始は、アメリカ・ファーストを主導してきた大統領の考えと齟齬をきたす」として、スージー・ワイルズ首席補佐官らに作戦を踏みとどまるよう働きかけていた。
同じMAGA信奉者で保守系テレビ局「Fox News」の人気司会者メギン・ケリー女史も、イラン側の反撃で米兵6人が死亡したことに関連して「外国のために死者を出すべきではない。亡くなった6人はわが国ではなく、イラン、イスラエルのために命を落としたことになる」と批判の声を挙げた。
