メイド・イン・チャイナは品質が悪いというイメージは昔の話だ。技術力も伴ってきた中国を前に、これから日本ができることは何か。「Wedge」2026年5月号に掲載されている「造船立国ニッポンへ 「復活の号砲」を鳴らせ」記事の内容を一部、限定公開いたします。
鄭和の大航海を一旦横においておけば、中国を大陸国家と呼ぶことに違和感を覚える日本人はいないだろう。
米国と並び海洋大国を自認する日本だ。
この感覚に「メイド・イン・チャイナ」の粗製乱造のイメージを重ねたのが、日本人が抱く中国の造船業への評価だろう。いわゆる「安かろう、悪かろう」だ。実体験もある。
私が2010年代の半ばから10年弱、海上保安庁の政策アドバイザーを務めていた時、同庁幹部に中国の造船業界の発展ぶりを説明すると、その幹部は「中国の船は細部がダメなんです。日本の船とぶつかったら沈みますよ。やっぱり日本の製造業にはかないません」と鼻で笑うのに接したことがあった。
だが私は、この幹部の態度から日本の造船業が中国に大きく差を付けられるのも時間の問題だと逆に確信した。というのも、これまで多くの産業で「中国など、まだまだ」と言いながら、目の前で逆転されるのを見てきたからだ。家電から電気自動車(EV)、新エネルギーに至るまで何度も同じことが起きてきたのだ。
