2026年4月22日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月22日

 中国は、イランとの戦争で米国が衰退に向かい、中東に関わり続ける結果アジアでの行動は制約され、地政学的にも経済的にも中国にとり有利な状況になると見ていると2026年4月1日付Economist社説は論じている。

(AP/アフロ )

 イラン戦争は、悪辣な体制を弱体化させ、核開発を阻止することで、米国の軍事的な優位と、中国が「友邦」を救えないことを対比させるはずだった。戦闘開始から1カ月が経ち、この論理は見当違いだったと中国は見ている。

 中国の政府高官等に取材した結果、ほぼ全員が、この戦争を米国の重大な過ちと見ている。中国が傍観しているのは、「敵が過ちを犯している時は、決して邪魔をするな」というナポレオンの格言を理解しているからだ。多くの中国人は、この戦争が米国の衰退を加速させ、習近平の経済成長よりも安全保障を重視する姿勢を正当化するものと捉えている。

 第1に、北京では、米国が自らの力の衰えを感じイランを攻撃しているとの見方が支配的だ。19世紀の英国と同様、その圧倒的な軍事力の誇示は、目的意識や自制心の欠如と対照的で、トランプは過激な威嚇を繰り返してきた。

 彼の戦略の欠如は、米国を失敗へと追い込んでいる。中国の専門家たちは、この戦争が米国衰退説をさらに強めることを期待している。

 第2に、中国当局者は、この戦争は、停滞気味の経済成長を犠牲にしてでも技術や資源の自力での確保を重視する習近平の判断の正しさを示していると見ている。習近平は、中国の供給網が遮断される事態を防ぐべく数カ月分の供給に相当する13億バレルの原油備蓄を構築し、国内産石炭の利用を維持しつつ、発電を原子力、太陽光、風力へと多角化させた。中国は、イランの石油取引を円滑化させている。

 習近平は米国に対する抑止策として、戦略的攻撃対象の構築に力を入れてきた。昨年、トランプ関税に対し、中国はレアアースの供給制限で対抗した。習近平は既に医薬品の原料や半導体、物流など、新たな圧力手段を探し、また、量子コンピューターやロボット工学といった新興技術分野で主導権を握ることを目指している。


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