2026年6月1日(月)

教養としての中東情勢

2026年6月1日

 米国とイランが「ホルムズ海峡開放」と「60日間の停戦延長」の覚書で暫定合意したと伝えられる中、トランプ大統領とイランが互いに合意の修整を要求、依然駆け引きが続いている。イランはホルムズ海峡の支配という「抑止力」を確保、イスラエルが恐れるミサイル開発の制限は課されないままだ。

(AP/アフロ)

 先送りになった核協議の難航は必至。今後も中途半端な「脆弱な停戦」状態が続くだろう。

元大統領の擁立を画策

 米政府当局者らによると、暫定合意の内容は覚書としてまとめられた。その骨子は停戦を60日間延長、イランが通行料や保険料などを徴収せずにホルムズ海峡を開放。米国も見返りとして、アラビア海で続けていたイラン関係船舶に対する海上の「逆封鎖」を解除し、イランの石油販売を容認するというもの。

 トランプ氏が「イランには絶対に核兵器は持たせない」としてきた核問題については、停戦期間中に協議することになるが、イラン側は覚書の中で核兵器開発を追及しないと約束。今後の協議ではウラン濃縮活動の停止のほか、核関連施設の解体、60%の高濃縮ウランの国外搬出などを話し合う。

 つまるところ、ホルムズ海峡封鎖による世界経済への打撃をまずは緩和し、その後に核問題の協議を行うという2段構えの方式で紛争の決着を図ることになったわけだ。トランプ大統領は当初、「イランの無条件降伏以外に取引はしない」と主張していたが、大幅な譲歩だ。

 大統領は開戦時、戦争の目的をイスラム政権の「体制転換」に置いた。米紙などによると、これはイスラエルの特務機関モサドの計画に沿ったもの。最高指導者ハメネイ師を殺害し、同時にイラクからクルド人勢力が侵攻、市民が武器を手に立ち上がり、イスラム政権を打倒するシナリオだった。


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