2026年7月2日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月2日

 ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニストのSadanand Dhumeが、6月3日付け同紙掲載の論説「インドは経済の優位性を失いつつある」において、最近のインド経済減速は、イラン戦争のみならず、ビジネスに厳しい各種制度が原因であり、その背景にある自信過剰を改め、市場志向経済に向けた構造改革を行うべきだ、と指摘している。概要は次の通り。

(Oleg Shuldiakov/gettyimages)

 モディ首相は厳しい現実に直面している。経済近代化は実現していない一方、インドは、急速なルピー安、対外投資減少、AIによるIT産業崩壊の懸念に直面している。モディ首相は、この機会に市場志向への変革を目指すべきだが、それには、従来にない経済改革に対する明確なコミットメントが必要だ。

 ルピーは、過去1年間に対ドルで11%安くなった。国際通貨基金(IMF)はインドの国内総生産(GDP)が日本を超え世界第4位になると予測していたが、実際は英国に抜かれ6位に落ちた。本年初以降、海外投資家はインドの株式市場から230億ドル以上を引き揚げ、昨年度の対外純投資は、3年前の280億ドルから77億ドルに急減した。

 インド経済停滞の原因は、イラン戦争で燃料と肥料価格が上昇し、湾岸協力理事会(GCC)諸国で働く1000万人近いインド人からの本国送金減少の恐れがあることだ。インドは世界3位の石油輸入国で、原油の85~90%を輸入し、原油とガス輸入の半分以上がホルムズ海峡を通る。イラン戦争は確かに打撃だが、問題はそれ以前からある。

 経済界のリーダーは内々、面倒な税務調査や膨大な無駄な官僚的手続きに不満を述べる。モディ氏にはこのような問題の解決が期待されていたが、悪化している。

 問題の多くは、インドの将来性への自信過剰に起因している。結果、投資家に厳しい政策が導入される。


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