2026年4月2日(木)

Wedge REPORT

2026年4月2日

 もう間もなく日本のGDPを抜き去る勢いの、世界随一の成長市場、インド。この14億人市場の巨大な需要による引力に、多くの日本企業が惹きつけられています。ただしインドは無比の可能性を秘めるのと同時に、無数のビジネス上の「インド・リスク」をも内包しています。本連載では経済・文化・権力構造の各分野の「インド・リスク」を分析していきます。

*本記事は、『インドビジネスのオモテとウラ 14億人市場の「世界でいちばん面倒くさい国」』(ウェッジ)から一部抜粋、編集の上掲載しています。
(Tabishere/gettyimages)

 インドに一度でも足を踏み入れたことのある方には一目瞭然。日本からの直行便があるデリーやムンバイなどの大都市でも、空港を車で出て10分も走れば道路は未整備、ゴミは散らばり放題、水道管か下水管か分からない太い鉄の管がむき出しという光景に出会います。これをもって針小棒大にインドのインフラ未整備を語ることはしませんが、こういった「街がキチッとしてない」景色がずーっと広がっているのがインドです。

 大都市にポツンポツンと砂漠のオアシスのように点在する新しい開発区など特定の区切られた場所だけが、多少は日本にもあるようなカッチリした綺麗なビルの立ち並ぶ都市イメージでありまして、その他の土地は基本的に混沌が支配するキチッとしてないゾーン、ないしは人間の立ち入りが少ない自然ゾーンが99.99%を占めます。

 「清潔好き、綺麗好き」が少なくない日本人にとって、都市においては心を落ち着かせる場所が高級ホテルや高級カフェなど極めて限定されていて、常にそわそわしなければならないのがインドです。犯罪に巻き込まれる危険性とかそういったものではなく、生ゴミや糞尿の悪臭、野生動物、水たまりからの蚊を媒介にした感染症の恐れ、マンホール崩落など歩いている場所の危うさ、上からの落下物など、どこでも衛生問題とインフラ未整備にそわそわしなければならないのです。決して、僕はインドを貶す意図はなく、現在はそういった発展状況と環境であることを伝えたいまでです。

 日本人駐在員の方々にお話を伺えば、他の新興国に住んでいた方でもインドは格別に苦労が多いと言われ、自宅とオフィスと高級商業施設を除いて出歩くことは少なく、拠点間を車で移動するだけと口を揃えられます。ザッツ・インドです。もちろん、その混沌さと多様性と自由奔放さがたまらなく好き、という日本人もいらっしゃることは付記しておきます。

「工事予定あり」のまま10年経ちました。ボロボロで未整備なインフラ

 インドは過去20年間で急速な経済成長を遂げましたが、それにともないインフラの未整備が経済発展の大きな足かせとなっています。都市部・地方農村部を問わず、十分な交通、エネルギー、上下水道、衛生施設などのソフトインフラおよびハードインフラの整備がまだまだ未熟です。

 OECDなどの定義によれば、社会インフラとは、道路・高速道路・鉄道・メトロ・空港・港湾などの交通輸送インフラ、 安全な飲料水の供給、衛生施設の設置といった水の供給と衛生のインフラ、学校・医療施設・公共交通施設・公園などの公共サービス施設、 都市ガス網・送電網・通信などのエネルギーとICTのインフラを指します。

 日本は全国津々浦々の地中に水道管インフラを持っていますが、戦後の成長期に敷設された水道管の耐用年数(50年など)が近づいていて、これらの莫大な取り換えコストをどうするんだ、といった問題がメディアでも話題となっております。一方インドはまだ一度も水道管が敷設されてない地域も少なくありません(※地域によってまちまちですが、数割の水道未接続地域があります)。なにしろ、「開発開発開発!」「成長成長成長!」の大号令をかけるモディ政権ですから、国土全体のインフラを一新するための大規模な政策が次々に打ち出されています。


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