訓練中に重傷を負った将兵が民間病院をたらい回しにされ、軍医療への不信が国民の間に広がったことが「国軍外傷センター」創設に繋がった。開所から4年、治療した外傷患者の生存率98.1%という成果を刻む一方、韓国軍はいま別の課題にも向き合っている。デジタルネイティブのMZ世代が兵役の大半を占める中、「銃を持つ手に本も持たせる」という兵営読書活性化プロジェクトを本格始動させた。
国民の声から生まれた「国軍外傷センター」
韓国軍の外傷医療は、かつて致命的な欠落を抱えていた。銃創や爆発傷などの軍特有の戦傷を専門的に治療できる施設がなく、訓練中に大けがを負った将兵が民間病院をたらい回しにされる事態が繰り返された。軍病院への不信は根深く、医療機器の不足や診断能力への疑問が国民の間に広がり、息子を軍に送り出した親たちがインターネット上でネットワークを組んで集団行動に出るほど、軍医療体制への不満は高まっていた。
こうした現実を変えようとしたのが、国軍外傷センターの創設だ。2017年にソウル近郊の城南市に所在する国軍首都病院で工事が始まり、20年3月に完工したが、コロナ禍で感染症専門病院に転用。約900人の感染者治療を終えた後、22年4月20日に正式開所した。事業着手から約10年を要した、まさに悲願の結実だった。
センターは米軍レベル1外傷センターを手本に設計された。総面積は約3300坪。外傷専用蘇生室、専用手術室2室、個室型集中治療室20床を備え、応急処置から医療後送ヘリによる搬送・治療までを一元化する「ワンストップ体制」を構築した。初代センター長には民間外傷医療の第一人者を招いて体制強化を図った。
開所から4年を経た今、その成果は数字が語る。治療した外傷患者は軍民合わせて1607人に達し、うち重症外傷患者は300人超、全患者の生存率は98.1%に上る。
医療後送ヘリの出動も221件を数えた。24年には医師ストによる医療空白を補完する役割も担い、25年末には保健福祉部長官の機関表彰を受けた。

