サバが我々庶民の手に届かなくなるかもしれない。
財務省貿易統計によると、2025年の我が国における冷凍サバ輸入量6087万トンのうち、71%の4348万トンがノルウェー産である。ところが、ノルウェー水産物評議会の発表と新聞報道によると、26年4月の日本向けサバ輸出量は前年同月比83%減の120トンに落ち込んだ。
これに代わって最大の輸出先となったのが米国とウクライナ。ノルウェーは25年に16万5298トンであった漁獲枠を今年は8万1375トンとほぼ半減しており(Fiskeridirektoratet (2024); Fiskeridirektoratet (2025))、魚価は過去最高値を更新、円安もありウクライナ、リトアニア、ルーマニア、ブルガリアといった東欧各国が日本より高い値を付け、市場を先導したという(Norwegian Seafood Council (2026))。現在の日本は、ウクライナなどの東欧諸国にサバを買い負けているのである。
乱獲に瀕する太平洋のサバ資源
では国内産で賄えば良いかというと、そうともいかない。太平洋側のサバの漁獲量は21年に50万トン近くあったものが25年には10万トンに減っている(NPFC統計)。近年坂を転がり落ちるような右肩下がりになっているのだ。
背景にあるのは、乱獲に瀕する資源状態にある。国の委託を受け調査を行っている水産研究・教育機構(以下「水研機構」と略)の最新の資源評価によると、「マサバ太平洋系群」と呼称される太平洋側に生息するマサバの漁獲圧は持続可能な水準(Fmsy)の2倍という甚だしい乱獲状態(overfishing)にあり、資源量(親魚量)も漁業法に基づき設定される「目標管理基準値」どころか、資源維持にとって非常に望ましくない「限界管理基準値」を大きく割り込んでいる。マサバと一緒に漁獲されることの多い太平洋側のゴマサバ(ゴマサバ太平洋系群)も、資源量(親魚量)が望ましい水準を下回っている。
太平洋のサバは日本の排他的経済水域(EEZ)と公海に跨って回遊するため、国際的な管理が欠かせない。これを担っているのが「北太平洋漁業委員会(NPFC)」という国際機関で、この4月に年に1度の本会議を開催、交渉の末、25年は7万1000トンだったマサバ・ゴマサバの公海漁獲枠を、26年は5万1000トン、27年は4万5000トンに削減との合意が成立した。ただ、資源の持続可能な利用という観点からは、極めて不十分な内容である。

