2026年7月11日(土)

JAPANESE, BE AMBITIOUS!米国から親愛なる日本へ

2026年7月11日

 本誌2017年5月号から20年8月号まで「米国で挑む闘魂経営」と題し、様々な観点から連載させていただいた。

 あれから約6年を経て、在米38年の経験を踏まえ、今月から新たな連載が再び始まる。

 第1回は、今、世界主要国が自国第一主義を掲げ、内向きになっている中で「地球市民」になる考え方を持ってはどうか、ということだ。

 26年7月4日に米国は建国250周年を迎える。日米関係はもっとも強固な同盟関係のひとつだ。私も両国関係に関わる組織・団体に携わっているが、「永田町・霞が関とワシントン」という視点からの取り組みが多い。もちろん大変重要な軸だと理解しているが、両国の現状に鑑みると、他にも目を逸らすことのできない切実な問題が数多くある。

 例えば、「少子高齢化で衰退していく地方をどのように再生・復興・創生するか」という問題である。長年、日米を頻繁に往来する生活を送っているが、日本の地方に行くと、一極集中である東京との格差に愕然とする。

 私の故郷は旧名・奈良県宇陀郡大宇陀町だ。風光明媚なふるさとである。宇陀は、万葉の時代から存在し、万葉集では歌人の柿本人麻呂が大宇陀の阿騎野で「東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ」という歌を詠んだ地でもある。

自然豊かな奈良県宇陀市。この土地で、世界で活躍する「地球市民」と地元住民による面白い取り組みが始まっている(YOSHIHIKO TANAKA/GETTYIMAGES)

 約20年前に少子高齢化などの地域問題に対処するため、4町村(旧・榛原町、大宇陀町、菟田野町、室生村)が合併し、宇陀市が誕生した。

 しかし、合併後も若者の都会への流出、人口の高齢化、税収減、インフラの劣化、公共交通や医療体制の縮小などの問題が深刻化している。

 これらは私の地元に限ったことではない。日本の地方には、このままいけば消滅してしまう可能性すらある市町村がたくさんある。ただ、これらは米国の地方も同じである。

 昨年、宇陀市の金剛一智市長から、「市を復興・再興・創生するためにどうすればよいだろうか」とご相談いただいた。生まれ故郷は私の心の拠り所である。何かお役に立てればと思い、〝千年未来塾〟という構想を提案させていただいた。

 なぜ、「千年」か? 宇陀は古事記や日本書紀にも記載があり、神武伝承の舞台として知られている。歴史的に由緒ある地が、あと1000年も2000年も続くように、という思いが込められている。

 また、人口減少や地域社会の変化といった課題に向き合うには、短期的な成果だけではなく、世代を超えて長い時間軸で地域の未来を考え続ける視点が必要だ。「すぐに答えが出るわけではなく、問いを地域の人々と共有し、対話を重ねながら次へつないでいく、その過程で色々な答えが出てくる場にしたい」という思いが、この名前に込められている。

 千年未来塾は今年1月から始まり、先日の6月7日には、第4回を終えた。具体的にはどんなことをしているのか。地方の復興・再興・創生には、まずその地に未来を背負う若者が欠かせない。あるいは若者を外から呼び込まなければならない。そのためには、宇陀にいながら様々な知的好奇心に刺激を与える環境を整える必要がある。

 千年未来塾はまさに宇陀にいながら「世界とつながっている」と感じてもらえるような場を提供する取り組みだ。世界中から人々に来てもらい「彼らがやってきたこと」を市民とじかに対話してもらう。それだけだ。正解はない。そこで集まる人たちの間で、「化学反応」が起きるだろう。私のこれまでの人生も同様であった。


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