◆今日のお悩み
売上が落ち込み、赤字が続いている事業があります。改善策を重ねていますが、思うような成果は出ていません。撤退すべきだという意見がある一方、社員や取引先への影響を考えると、簡単には決断できません。これまで投じてきた資金や時間を無駄にしたくないという思いもあります。経営者として、どのような基準で「やめる決断」を下すべきなのでしょうか。
売上が落ち込み、赤字が続いている事業があります。改善策を重ねていますが、思うような成果は出ていません。撤退すべきだという意見がある一方、社員や取引先への影響を考えると、簡単には決断できません。これまで投じてきた資金や時間を無駄にしたくないという思いもあります。経営者として、どのような基準で「やめる決断」を下すべきなのでしょうか。
月曜日の午前9時。経営会議のテーブルに、事業別の損益資料が並んでいる。一つの事業だけ、今月も数字が赤い。赤字は半年以上続き、改善計画も未達に終わった。
担当役員は「新商品が軌道に乗れば回復します」と説明し、営業部門は「ここで撤退すれば長年の取引先を失う」と訴える。人事部門は社員の配置や処遇を心配している。
社長も迷う。この事業には多くの資金と人材を投じてきた。自分が始めた事業なら、やめることは過去の判断を否定するようにも感じられる。
市場が回復すれば、競合が先に撤退すれば、新商品が当たれば――。続ける理由はいくつも浮かび、会議はまた「もう少し様子を見よう」で終わる。
しかし、その間にも資金は減り、成長事業への投資は遅れ、将来を担う人材が赤字事業の立て直しに追われる。守ろうとした事業が会社全体の可能性を奪っていく。
事業を始める決断には期待がある。一方、やめる決断には損失の確定、社員や取引先への説明、自らの判断の検証が伴う。だから経営者にとって、始めること以上に難しいのがやめることである。
