2026年9月23日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月23日

 2026年8月24日付Project Syndicate は、トランプ大統領が再度、北朝鮮に接近しようとしていることを危ぶむリチャード・ハースの論説を掲載している。

(Maksym Kapliuk/titoOnz/gettyimages・ロイター/アフロ)

 トランプ大統領は、北朝鮮の独裁者、金正恩と会うことへの関心を再度表明した。

 第一期トランプ政権では、トランプが金正恩と会った際の目標は北朝鮮の非核化を実現することであったが、トランプはそれに失敗した。それ以来、北朝鮮の核弾頭保有数は顕著に増大し(トランプは57発と述べている)、ミサイルの射程も精度も上がっている。

 同じ努力を払っても同じ結果となることは目に見えている。金正恩は、自らの安全が信頼性のある核抑止に依拠していると考えている。

 金正恩は、米国が核兵器を保有していないイランを攻撃したこと、イラクにも同じことをしたこと、北大西洋条約機構(NATO)が核計画を放棄したリビアを攻撃したことを意識しているに違いない。同様に、ウクライナは安全の保証と引き換えに核兵器を放棄したが、安全の保証は守られず、2014年と22年にロシアの侵略を受けた。

 トランプは、外交が成果を上げるだろうと自信を持っているが、二つの要素を過大評価している。一つは、個人的な外交の影響力である。しかし、歴史が示す通り、そうした力は大したことはない。

 トランプが過大評価しているもう一つは、北朝鮮への制裁が解除された際に北朝鮮が得る経済開発の影響力である。金正恩にとって重要なのは、彼とその後継者による支配が継続することで、北朝鮮の人々の繁栄や幸福ではない。国を開放することは、かえって将来への期待を高め、体制転換に繋がる恐れがある。

 非核化が現実的な目標ではない一方、ある種の核軍備管理は可能である。北朝鮮の核・ミサイルに対し、量的・質的な制限をかけることは試みる価値がある。

 一方、それは、北朝鮮が核不拡散条約(NPT)を脱退し、核兵器を開発したことを正当化してしまうリスクがある。それは、韓国や日本を不安に陥れる。

 トランプは、韓国との関係をゼロ・サムで捉えているようだ。米国の韓国との関係を犠牲にすれば、それだけ北朝鮮との関係で自らの目的達成の可能性が高まると考えているようだ。

 本当は、その逆が正しい。トランプは、北朝鮮のミサイルの脅威が高まる中、韓国のミサイル防衛を引き上げ、最近では、米韓軍事演習を挑発的とのことで、規模を縮小した。


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