トランプの意図は何であるのか。イランにおける失敗から世間の関心をそらして外交上の成功をアピールする機会として北朝鮮を捉えているのかもしれない。あるいは、韓国がイランとの戦争に協力を拒否したことへの怒りの行動を取っているだけかもしれない。
確かなことは、トランプは、信頼ある防衛能力が抑止を支えていることを理解していないということだ。韓国には2万8000人の米軍が駐留し、米国として条約上、防衛義務を負っているだけに、危険な状況である。
韓国を置き去りにして一方的な外交を行えば、米国の安全確約の信頼性を害する可能性がある。朝鮮半島に核保有国が一カ国のみならず、二カ国出現する可能性、朝鮮半島で再び戦争が起こる可能性、1945年以来、初めて核兵器が使用される可能性にも繋がりかねない。
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短期的で目に見える利益を追う
米国の外交コミュニティの大御所リチャード・ハースによる論説である。ハースは、国務省の政策企画局長等の要職を務め、長年、外交評議会会長として活発な言論活動を行ってきた。ハースの論説を手がかりに、トランプによる北朝鮮へのアプローチについて考えてみたい。
まずは、トランプの意図がどこにあるかである。北朝鮮の非核化に向けて取り組むことがトランプの意図であるとは考え難い。
トランプは、中長期的で不確かなリスクと短期的で目に見える利益を秤にかければ、躊躇なく後者を選ぶ指導者であろう。残念ながら核拡散のリスクへの対応は、トランプからは期待し難い分野と言わざるをえない。
それでは、トランプの狙いは何か。おそらくはいくつかの要因の複合的な組み合わせであろう。第一は、ハースも指摘している通り、イランで出口が見えない状況なので、自分が主導できる別の論点を持ち出す意図はあろう。
第二に、トランプは、第一期政権の頃から、金正恩に親近感を持ち、金正恩とのやりとりで取引をしたいと思っているのだろう。専制主義的指導者への親近感は、自分もそうなりたいとの願望があるのか、トランプの特質の一つであろう。
