2026年9月15日(火)

トランプ2.0

2026年9月15日

 トランプ第二次政権発足以来、米政財界では、デモクラシーに代わり、「クレプトクラシー」(kleptocracy)の話題で持ちきりとなっている。大統領職権と立場をフル活用し、巨万の富を築く収奪政治だ。

(ロイター/アフロ)

3倍上に膨れ上がったファミリーの所得

 トランプ氏が大統領に復帰した昨年1年間に得たファミリーの所得総額が今年6月、公表され、大きな話題となった。申告によると、その額は、前年2024年度が6億2200万ドルだったのに対し、一挙に「最低22億ドル」と、3倍以上にまで膨れ上がっていたことが判明した。

 主な収入源として、一族の経営する仮想通貨会社「World Liberty Financial」へのアラブ首長国連邦(UAE)からの投資や、トランプ氏が所有する「Trump Organization」の不動産関連取引などが指摘されている。

 しかし、米主要メディアは、大統領の所得が就任前に比べ急増したことについて、重大な関心を示し始めており、それ以来、アメリカにおける「democracy」ならぬ「kleptocracy」論議もにわかに活発化してきた。

 「kleptocracy」の語源は、古代ギリシア語の「kleptesクレプテース」(盗賊)と「kratiaクラチア」(権力、支配)に由来する。トランプ政権の支配体制がまさに「kleptocracy」というわけだ。

 トランプ一族による“泥棒政治”の実態については、首都ワシントンのエリート大学として知られるジョンズホプキンズ大学の民主主義研究機関SNF Agora Instituteが昨年4月以来、公表してきた追跡レポートKleptocracy Tracker Timelineなどに詳しく列挙されている。

 ピューリッツァ―賞受賞のベテラン・ジャーナリストで、同レポートを主宰するアン・アップルバウム女史は、昨年4月の創刊号で、発刊の動機について、米有力誌「Atlantic」への寄稿文の中で以下のように論じている:

 「つい最近に至るまで、米外交政策に影響を及ぼすことを企図した諸外国の多くの会社との個人的取引を疑われることを欲する大統領は、過去一人としていなかった。なぜなら、そうした取引は、政府当局者が外国政府から贈り物、報酬、便宜供与を受けることを禁じた合衆国憲法に抵触するからだった。しかし、トランプ大統領は1期目こそ、法廷裁定で意のままにならなかったが、2期目に入り、大統領政策と直接利益がからむ国内外のいくつもの会社と直接取引をしてきたばかりか、これらの会社や組織を大っぴらに宣伝し、支持してきた(中略)私たちは今や、多くの民主主義国家で求められてきた政治の透明性、説明責任の時代から腐敗し疑惑に満ちた専制体制への“革命的シフト”の最中にある」

 「追跡レポート」によると、昨年1年間のトランプ一族の所得のうち、最も稼ぎが多かったのは、「World Liberty Financial」が発行した仮想通貨取引で、単独で8億ドルに達したほか、「記念ミームコイン」関連でも6億3500万ドルの収入があった。取引先はほとんどが、UAE政府関係企業だったという。


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