2026年7月、米エヌビディア最高経営責任者(CEO)のジェンスン・ファン氏が来日し、日本の高い技術力への期待と敬意を語った。
しかし、ファン氏の出身地である台湾が台湾積体電路製造(TSMC)を筆頭に世界の半導体サプライチェーンの圧倒的な「心臓部」となった一方、1980年代には世界シェア50%以上を誇った日本の半導体産業は現在5%未満に急落している。この後退の本質的要因は投資額ではなく、次世代を担う「高度人材」の育成不足と社会基盤の機能不全にあると考える。
現在、日本政府や企業が推進するDXやGX対策の多くは、デジタルスキルの詰め込みといった「既存の正解をいかに効率的に再現するか」という手法に終始しており、これでは不確実な時代にイノベーションを創出できない。
日台の決定的な格差は、資金の差ではなく、教育の「思想」と社会を動かす「アーキテクチャー」そのものにある。アーキテクチャーとは、〝社会構造をデザインすること〟をいう。
日本社会は福沢諭吉の唱えた「独立自尊」の精神、すなわち他者に依存せず自ら思考する姿勢を忘れ、前例に従順な人材を量産してきた。筆者が26年間日台の高等教育機関で教鞭を執った経験から、日本の構造的課題を紐解き、変革への道を提言したい。
