2026年11月6日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年11月6日

 インドのモディ政権が有権者名簿を改定し、1億3000万人もの有権者登録が名簿から削除されたと伝えられ、これに対し若者主体の「ゴキブリ人民党」が主導する抗議運動が継続している。フィナンシャル・タイムズ紙は、「モディ首相は若者を黙らせることはできない」という社説を10月14日付で掲げている。要旨は次の通り。

インドの「ゴキブリ人民党」による抗議運動に端を発して、全国規模のデモが行われた(AP/アフロ)

 インドの若者主導の「ゴキブリ人民党(CJP)」は、当初は冗談として始まったものだが、わずか数カ月で無視できない勢力へと成長した。ナレンドラ・モディ率いる政府は、同運動が呼びかけたニューデリーでの抗議活動を封じ込めるために数万人もの治安部隊を投入した。

 中心街は封鎖され、CJPの指導者達が拘束された。こうした強硬手段により、自らを「ゴキブリ」と称する彼らが大規模に集結することは阻止された。しかし、こうした手法には、インドの多くの若者の不満を深めるリスクがあり、モディ率いる与党「インド人民党(BJP)」の民主主義の資質を損なうことになる。

 当局が、この運動の拡大する影響力を警戒するのには理由がある。近年、この地域では若者主導の蜂起によって政権が倒れる事態が生じており、最近ではネパールの政権が倒れた。

 CJPは5月、最高裁長官が失業中の若者達を「ゴキブリ」になぞらえたことに誘発され、風刺的なオンラインのキャンペーンとして始まったものだが、瞬く間に勢力を拡大した。試験を巡るスキャンダルを受けてCJPが呼びかけた抗議活動により、7月にはモディ政権の教育大臣が辞任に追い込まれた。これはBJPの珍しい敗北だった。

 インドは、抗議活動や閣僚の辞任にも耐え得る強固な民主主義制度を長年誇りとして来た。しかし、選挙管理委員会委員長の辞任を求めて呼びかけられたニューデリーのデモへの対応は、政権の側における見苦しい不安を示すものである。


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