中間選挙を前にして、トランプの岩盤支持層と言われるMAGAを大きく分断する動きが進行している。一つ目は、MAGAそのものに幻滅しMAGAから離れる動きであり、もう一つは、MAGAの理念は信奉しつつもトランプを拒絶する動きである。
MAGA派が求めていたもの
そもそもMAGA派と呼ばれる人たちは、トランプのどのような主張に惹かれて結集したのかを振り返ってみたい。
第一が、アメリカ第一主義である。これ以上、海外での不毛な戦争で税金も血も流さないという主張は、イラクやアフガニスタンへの介入の意味を見出せない多くの米国人の心に響いた。
第二が、労働者の復権である。海外への工場の移転で、職や誇りを失ったラストベルトに代表される地方の白人労働者に、製造業を中心とした米国内の労働者階級の経済的復活を約束した。国内の産業を復活させ、「古き良き時代」を復活させるという、まさに「アメリカを再び偉大にする」というのである。
第三は、不法移民の取り締まりと国境の安全強化である。移民の流入が、自分たちの職を脅かし、治安を悪化させるという不安を多くの米国人労働者が抱きつつも、ポリティカルコレクトネスを気にして既存の政治家が沈黙する中、トランプは「不法移民は犯罪者だ」などと口にして、この人ならば国境を閉じて移民を止めてくれると人々の心をつかんだ。
第四は、伝統的キリスト教的な家族の価値観の維持である。同性婚の合法化などに代表されるLGBTQ+の権利拡大の動きや、人工妊娠中絶の広がりを苦々しく思っていた、福音派に代表される熱心なキリスト教徒に、伝統的な保守的価値観への回帰を約束したのである。
第五は、首都ワシントンのプロの政治家を中心とする既得権益層の打破である。地方の労働者は、民主党だけでなく共和党の政治家たちに対しても、地方を蔑んで、搾取しているだけだと不満を持っていた。そこに登場したワシントンとしがらみのないトランプが、「沼地の水を抜け」というスローガンを掲げて、既得権益の解体を叫んだのである。
トランプのこれらの主張に対して、かつては世界最強で、キリスト教の家族観を大事にし、真面目に働けば報われた「偉大なアメリカ」の再来を期待した人々は、MAGA派として結集し、トランプを大統領へと二度までも押し上げた。
