2026年10月23日(金)

トランプ2.0

2026年10月23日

 「私が候補と思って投票を」――。議会選挙のはずの米中間選挙は、終盤に入り、支持率低迷の続くトランプ大統領自らが前面に踊り出て有権者に直接アピールする“人気投票”と化してきた。しかし、激戦州で苦戦を強いられている共和党候補たちの心境は、いずれも複雑だ。

激戦州の演説に立つトランプ大統領(AP/アフロ)

前例のない「パニック・ツアー」

 トランプ氏は去る1日、「33日間短期集中キャンペーン」と銘打った電撃作戦を開始し、初陣としてテキサス、オクラホマ、アラバマ各州の選挙集会で共和党候補への投票を呼び掛けた。ホワイトハウスによると、大統領は、来月3日の投票日前日まで、「最低17州」で遊説予定という。

 リベラル系オピニオン・サイトの「Daily Beast」は、このような異常なほどの大統領の遊説スケジュールについて、「パニック・ツアー」と評しているほどだ。実際、80歳と高齢の大統領が、中間選挙の投票日まで1カ月を切った段階で、これほど多くの州を駆け巡るのは、米国政治史上、前例がなく、2期目就任以来、最大のピンチに立たされていることを示唆している。

 その背景として、中間選挙が終盤に入り、下院のみならず上院でも、民主党が多数支配を奪回する可能性が出てきたことがある。もしそうなれば、共和党にとって「2006年以来の最悪事態」となる。06年中間選挙では、当時のジョージ・ブッシュ(子)共和党政権が、中東危機と物価高騰などで人気が低迷、結果的に上下両院ともに民主党に敗北を喫した。

 今回、トランプ氏は、民主党が下院を制すれば、第1次政権時の2度の弾劾訴追に続いて3度目の弾劾審議の対象となるだけでなく、上院も民主党に奪われた場合、弾劾裁判に多くの時間を割かざるを得なくなり、政権運営に大きな支障をきたす恐れがある。

 トランプ氏は、去る19年2月(対ウクライナ疑惑)と20年2月(米議会襲撃事件煽動容疑)の2度、下院で弾劾されたが、上院での弾劾裁判では、共和党が多数だったため、いずれも無罪となった。

 ただ、2回目の裁判では、罷免に必要な上院議員3分の2の67人には達しなかったものの、共和党議員7人が民主党に同調し罷免支持に回っている。もし、今回上院選挙で民主党が勝利すれば、前回以上に共和党議員が大統領に反旗を翻す事態にもなりかねない。


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