2026年10月23日(金)

トランプ2.0

2026年10月23日

共和党の〝牙城〟カンザス州に逆風

 これまでの一連の遊説の中で、大統領が最も重視したのが、19日に乗り込んだカンザス州だった。同州では、32年以来、今日に至るまで1度も途切れることなく共和党が、上院議員2議席とも独占してきた。

 しかし、今年の上院選挙では、現職共和党候補のロジャー・マーシャル上院議員が、民主党候補で政治経験のまったくないアダム・ハミルトン牧師相手に、予想外の苦戦が伝えられており、もし、選挙で共和党が1議席でも民主党に明け渡すことになれば、96年ぶりに辛酸をなめることになる。

 しかも、トランプ大統領が掲げる「MAGA」スローガンの熱烈支持者が圧倒的に多い州にもかかわらず、今回は、対立候補のハミルトン候補が、リベラル派ながら、全米最大規模のキリスト教会牧師としてのさわやかな弁舌と清潔さで聴衆を魅了し続けてきており、最新世論調査でも、マーシャル候補をわずかにリードしつつある。

 このため、共和党全国委員会(RNC)は急遽、ノースカロライナ州の上院選のために用意していた200万ドル近くのテコ入れ資金をカンザスでの選挙戦に振り向けることになり、米主要紙は一斉に、「RNC、もはやノースカロライナ上院選レースを断念か」と大きく報じている。

 カンザス州は、トウモロコシ、小麦などの穀物などを産出する米中西部の代表的農業州であり、今、収穫期を迎え、トラクター、コンバインがフル稼働中だが、対イラン軍事作戦開始以来、燃料のガソリン、軽油類の高騰で、農家は悲鳴を上げていると伝えられる。

カンザス州での小麦の収穫。イラン戦争下では、農家から悲鳴も聞こえる(danahann/gettyimages)

 また、カナダ国境に近い同州最大都市ウィチタには、カナダ大手航空機メーカー「ボンバルディア」米国本社があり、3500人近い雇用を生み出している。ところが、カナダに高関税を課すなど、関係を悪化させてきたトランプ大統領が、同社製ジェット機の米国内販売を禁止とすると言明したことから、地元住民の間で、トランプ政権に対する批判が高まりつつある。

 そのウィチタ市に足を踏み入れたトランプ氏は、他州の遊説先同様、「私が候補と思って、マーシャルに投票してほしい」と、集まった聴衆に呼びかけた。しかし、マーシャル候補は、この数日前までは、地域住民の厳しいムードを気にして、大統領と同じ演説会場に姿を見せるかどうか、態度を明らかにしていなかった。結局、同候補は、当日ぎりぎりに現地入りしたが、演説で大統領と歩調を合わせる場面はなく、よそよそしさが目立った。


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