2026年10月22日(木)

教養としての中東情勢

2026年10月22日

 中東の台風の目となってきたイスラエルの総選挙が10月27日に実施される。焦点はこの30年間で19年も権力の座にあるネタニヤフ首相が生き残れるかどうかだ。

総選挙に向けて演説をするネタニヤフ首相(ロイター/アフロ)

 事前の予想では、ネタニヤフ派も反対派も過半数を獲得できず、多数派工作による連立政権になる見通しだが、混迷するのは必至。首相は敗北すれば刑事被告人として政治生命の終焉を迎えるだけに必死の戦いだ。

治安機関前長官が首相を提訴

 選挙は一院制120議席を争う。全国一区の比例代表制で、少数政党が乱立、「連立政権」が伝統的な政権の形だ。

 ネタニヤフ首相はリクードを主体に、宗教政党や極右政党を取り込んで、ぎりぎり過半数を確保して政権を掌握、政治的綱渡りを繰り返してきた。何よりも首相は汚職などの容疑で刑事被告人だ。

 3年前のイスラム組織ハマスによる電撃攻撃で市民ら1200人を虐殺されてガザに報復攻撃、パレスチナ人7万4000人以上を殺害した。首相はハマス奇襲の直前、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領から電話で情報を得ていたが、これを軽視し、惨劇を招いたと非難されている。

 首相は厳しく追及され、国内治安機関シャバクのバー前長官に「失敗と犯罪行為」があったと責任を転嫁、非難した。しかし前長官はこのほど、責任を押し付けられ、名誉を棄損されたとして損害賠償訴訟を起こした。首相はハマスの奇襲よりも、イラン問題に焦点をずらし「イスラエルを滅亡から救ったのは自分だ」とイラン攻撃の成果を誇示した。

 首相は今回の総選挙で敗北すれば、首相辞任を余儀なくされ、刑事被告人として服役する懸念もある。だからこそなんとしても権力にしがみついて汚職裁判を有利に進めたいというのが思惑だ。国民の目を対外的な脅威であるイランやハマスに向けさせ、戦争を継続することが必要なのだ。


新着記事

»もっと見る