2026年11月2日(月)

プーチンのロシア

2026年11月2日

 プーチン大領は9月28日、大統領令第686号「燃料・エネルギー部門におけるアクセス制限対象情報一覧の承認およびその利用手続について」に署名した。この大統領令の第1条および付属リストは、アクセス制限の対象となる燃料エネルギー部門の情報として「輸出商品の名称・数量、価格、売主・買主、運送業者・保険会社、決済方法、使用船舶、輸送ルート、積出・積替・仕向地、海上ターミナル名、輸出に係る税関統計、石油精製商品の精製・生産量、ガソリンおよびディーゼル燃料の販売・取引」を列挙する。同3条は、こうした情報の拡散は、マスメディアまたはインターネットを含む情報通信ネットワークを用いて行うものを含め、許容しないと規定した。

ロシアの石油精製所。プーチンはエネルギーに関する情報を統制した(2022年4月22日撮影、 ロイター/アフロ )

 要すればロシア産の燃料エネルギーが「誰から誰へ、何を、いくらで、どの船で、どのルートを通じて、いつ、どれだけ動いているか」というサプライチェーンに関する情報の外部への拡散を制限する統制令だ。

 ロシアでこの情報統制令が公布された理由として二つ挙げられる。

制裁逃れ

 一つ目は西側の制裁網をかいくぐる燃料エネルギーの「裏ルート」を保持するためだ。西側諸国は、ロシア産原油にプライスキャップ(上限価格。現在、欧州連合(EU)・英国・カナダ:44.10ドル/バレル、日本:47.60ドル/バレル、米国:60ドル/バレル)を設定し、保険や輸送データから制裁違反を監視している。ロシアは、輸出価格、買主、輸送ルート、保険、税関データ等のインテリジェンス情報を全て非公開にすることで、西側諸国の制裁の網をどこに張ればいいか分からなくすることを狙っている。

 大統領令第686号がプーチン大統領に署名される10日前の9月18日、トランプ大統領は「Lindsey O. Graham Sanctioning Russia and Iran Act of 2026」に署名して法律を成立させた。この法律は、故リンゼイ・グラハム上院議員が主導したため「グラハム法」と略されるが、米国メディア等からは「Sanctions from Hell(地獄からの制裁)」とも表現された。「地獄の制裁法」とも言い換え可能かもしれない。

 その具体的な内容は、ロシアから輸入される全ての製品に最大500%の関税(第112条の直接関税)とロシア産の石油・液化天然ガス(LNG)を購入する第三国に最大100%の関税(第113条の二次関税)を課すことを可能とする。ロシアのshadow fleet(影の船団)や制裁回避ネットワークへの制裁措置も規定されている。


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