2026年10月27日(火)

Wedge REPORT

2026年10月27日

 利上げペースが信用金庫の決算に大きな影響を与えている。貸出金利の上昇で利益率が向上するものの、保有する国債の損失処理との時間軸のミスマッチが発生するためだ。長く続いた低金利から「金利のある世界」となり、環境変化に追いつけない姿が浮き彫りになっている。横並び意識の強い「出資配当率」や限定的な営業エリア、地域銀行との競合の激化など信金業界が抱える課題が背景にある。

 さらに疲弊する地方経済では主要取引先の中小企業などの事業者数が減少し、営業基盤が弱体化している点も深刻だ。地域経済の持続的成長には、中小企業や小規模事業者への円滑な資金供給は必須。信金の存在価値が問われている。

(DigitalVision Vectors/gettyimages)

2026年3月期の赤字信金が増加

 全国254信金の26年3月期の決算で最終利益が赤字となったのは17信金。25年3月期5信金で、赤字信金が増えている。9月18日、日本銀行により政策金利は1.25%に引き上げられた。「金利のある世界」がさらに広がり、利ざやの拡大で利益が上昇し、多くの金融機関は増益となっており、信金業界でも、「本業の儲けを示す業務純益は大きく伸びた」(首都圏大手信金)。

 しかし、金利の上昇は保有する国債の価格が下がり損失処理を余儀なくされ、最終利益は赤字に転落。「創業以来に初の赤字となった信金」(西日本地区信金)のほか、栃木信金は自己資本比率が大きく棄損し、信金業界の中央機関である信金中金から40億円の資本支援を受けた。

 ただ、26年3月期の最終赤字を前向きと捉えている信金もある。32億円の赤字となったアイオー信金(群馬県)は、「将来の財務基盤の強化と長期的な収益力の安定化を図った」、189億円の赤字を計上した愛媛信金は、「債券の評価損の削減と有価証券利回りの向上のため、価格が下落した利回りの低い債券を売却して、より利回りの高い債券に乗り換えることで収益力強化」としている。

利上げペースの加速で赤字信金が増加懸念

 しかし、注視しているのが今後の見通しだ。9月の利上げは織り込み済みだが、利上げぺースが早まれば、収益力の向上と拡大する国債の含み損の処理の時間軸がずれる可能性がある。市場では、「年内と来年3月に利上げで政策金利は1.75%と予想する」(大手証券)という。金利の上昇で収益向上はするものの、同時に拡大する国債の含み損の処理をするための余力が追い付かないのは確実だ。

 さらに、懸念されるのが「早期警戒制度」の見直しだ。金融庁は、「人口減少や金利環境の変化等が地域金融機関に与える影響について、地域金融機関と健全な危機意識を共有して早めの対応を促していく」考えだ。特に、足元では一定の健全性があっても恒常的に収益が悪化すれば将来の財務内容に懸念があると指摘する。ただ、金融界からは「超低金利環境でも地域の金融インフラとしての機能を安定・継続的に発揮していくために模索してきた」(地域銀行)としており、歴史的な金融緩和政策の結果という指摘もある。


新着記事

»もっと見る