信金業界の個別事情も問題が深刻化
営利を目的とせずに相互扶助の精神で地域経済への貢献を第一義とする信金は出資配当率は上限(年10%)に定められている。全体では年2~3%が多いものの、高知信金10%、津信金(三重県)8%、浜松いわた信金(静岡県)5%など、平均を上回る信金。一方、赤字信金では、宮城第一信金は配当を見送ったものの、但馬信金(兵庫県)4%、紀北信金(三重県)4%、長岡信金2%、栃木信金1%などは配当を行った。
特別積立金を見送ったり、これまでの内部留保金を取り崩し配当原資をねん出した格好だ。今後の金利動向しだ金利が現在の1.25%となり、長期金利も3%台以上が常態化すれば、国債の損失処理が拡大するのは必至。26年3月期で最終利益が黒字であっても、27年3月期で最終赤字が増える可能性が高い。そうした状況でも出資配当については、「地域貢献のために8%を維持(26年3月期)」(津信金)としており、安定的に出資配当原資を確保も課題だ。
高い営業コストも収益を圧迫
信金の営業の最大の特徴は「フェース・トゥ・フェース」。キメ細かな訪問活動で中小企業や小規模事業者との強いパイプを構築。「地元地域銀にはない、狭域高密度の営業活動が強み」(関東地区信金)だ。ただそれは高いコストと表裏一体。
一方、メガバンクや大手地域銀行ではエリア内の事業性資金ニーズをデータ化。さらにAI(人工知能)を活用し、「いつ、どの企業がどれくらいの資金を必要としているかを把握している」(関東地区大手地銀)としており、営業活動の効率化が進んでいる。
また、営業区域が限定されているという信金業界固有の課題も指摘されている。信金中金が今年3月にまとめたレポートでは、地域経済縮小の対応策として、「営業エリアの拡大で収益を確保するという信金は12.0%」だったが、既存の店舗網を見直し、空白地への新規出店には関心があるものの、人員不足や競争激化を懸念する声も強い。
しかし、営業エリア外の成長市場に事業展開する事業会社との取引を拡充するために、どのようにサポートするかも課題の一つ。地域における少ないメインバンク数も収益増強の足かせになっている。地元地域銀行に比べメインバンク数が少ないことで、「資金需要などの情報が少ない」(関東地区信金)点もデメリットだ。さらに、「金利面では銀行がプライスリーダーとなり、信金は追随せざるを得ない」(同)などのほか、「倒産などマイナス情報で出遅れるのは致命的」(同)という。
