2026年10月27日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年10月27日

 北朝鮮の金正恩総書記が10月24日、実妹の金与正党総務部長、党内序列3位の趙甬元党政治局常務委員、崔善姫外相らを伴い電撃的に訪中した。その際は、15日に開通したばかりの「新鴨緑江大橋」を利用し、対岸の遼寧省丹東に到着した。

北朝鮮の金正恩総書記が開通したばかりの「新鴨緑江大橋」を使い、電撃訪中した(新華社/アフロ)

 この橋は、後述のように中朝間の複雑な経緯から、完成から十数年を経てようやく開通していた。これを金正恩自身が渡ったことは、長らく良好と言えなかった両国関係の改善を、象徴するものとなった。

 金正恩は丹東で、中国共産党序列4位の王滬寧(中国共産党政治局常務委員兼人民政治協商会議主席)や王毅外相に迎えられて会談し、朝鮮戦争で共闘した中朝の歴史を記録した「抗美援朝記念館」などを視察した。金正恩は、翌25日が、朝鮮戦争に中国が「義勇軍」を送った76周年であることを意識し、「血で結ばれた親善を胸に刻み、強く引き継ぐ」と述べた。一方、王滬寧は「両国の主権・安全・発展利益を守り、戦略的な意思疎通・協力を強化する」とし、両国関係を強くアピールした。

北朝鮮の巧妙なサバイバル外交

 このように中朝関係は、「血で固められた同盟」という表現が用いられ、いかにも強固な印象を持たれがちである。かつて毛沢東も、中朝関係を「唇亡歯寒」(唇滅びて歯寒し)、すなわち共通利害を持った切り離せない関係と喩えている。

 だが過去から現在に至るまで、両国関係の真の姿は飾り言葉の通りでなく、特にこの十数年は極度に冷却化していた。実際のところ中国にとっても、北朝鮮とは「取扱注意」の厄介な存在なのである。

 かつての中国にとって北朝鮮は、伝統的な冊封関係(朝貢関係による秩序規定)の観念に加え、対米緩衝という点からも、援助すべき対象であった。だが北朝鮮は、従属的立場に甘んじなかった。

 中国からは援助を引き出す一方、旧ソ連・現ロシアとの友好関係を対中牽制の手段とした。さらに敵対関係の韓国、米国、日本とは対決姿勢を取りつつも、必要に応じ緊張を緩和し、あるいは個々利害に付けこんで取り込み、中露も牽制してきた。


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