2026年11月7日(土)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2026年11月7日

  上水道の普及率が99%を超える韓国で、前線の将兵はいまも渓流の水を浄化して飲み、島の部隊では節水のため食事の汁物が消えることもある。街では軍人を名乗る詐欺が絶えず、軍は電話1本で「本物の軍人か」を確かめられる窓口まで設けて被害防止に追われる。「先端強軍」を掲げる韓国軍の意外な素顔に迫る。

飲み水すら事欠く韓国軍前線部隊の実情

 李斗熙国防次官は10月23日、江原道華川郡の陸軍第15歩兵師団を訪れ、渓流の水を水源とする取水施設を視察し、前方と島嶼の部隊に上水道を広げるため自治体との協議を強めるよう指示した。26日付国防日報が1面トップで伝えた。

 なぜこれが1面なのか。韓国全体の上水道普及率は99%を超えるが、軍は大きく遅れているからだ。

 全軍の普及率は2013年時点で45%。華川郡の調査では、23年の普及率は住民69%、軍部隊33%だった。水道を使えない将兵は郡内だけで1万5000人超と推計され、地下水や渓流水を浄化して飲んでいる。梅雨期は泥水が流れ込み、冬は渓流が凍るという。

韓国軍は旱魃復興支援も実施するが、自らの水の確保も難しいこともある(韓国陸軍提供)

 前方部隊のある将校は聯合ニュースに、水が足りず洗うことから飲むことまで不便だと語った。郡は軍の要請で年約5000トンの水を運ぶ。

 島嶼も同じ問題を抱える。国家人権委員会が24年に公表した海兵隊の調査では、島嶼部隊のシャワーフィルターの大半が赤さびで変色していた。一部の部隊では、海水を淡水化する設備のポンプが不調になると節水を強いられ、シャワーの時間が削られ、食事に汁物が出なかった。

 今年9月には、海水の淡水化に頼る白翎島の海軍部隊の飲料水から基準の2倍を超えるホウ素が検出されたと報じられ、将兵はミネラルウォーターに頼った。次官の視察3日前の国政監査でも、黄海の島々に駐屯する海兵隊の水不足と配管の老朽化が追及された。

 水道管が延びない理由は、費用負担が自治体になっているからだ。聯合ニュースによると、水道の敷設業務は22年に自治体へ移された。華川郡の軍民統合上水道は総事業費1014億ウォン(約118億円)で郡の年間予算の2割を超えており、25年4月の時点で確保できたのは120億ウォンしかない。地元からは国防部の費用分担を求める声が上がっている。


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