都市vs地方 

2021年11月2日

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吉田浩 (よしだ・ひろし)

東北大学大学院 経済学研究科教授

高齢経済社会研究センター長。1995年一橋大学大学院博士課程満期退学、97年東北大学大学院経済学研究科助教授、2007年より現職。会計検査院第9代特別研究官、経済企画庁経済審議会特別委員も歴任した。著書に『男女共同参画による日本社会の経済・経営・地域活性化戦略』(河北新報出版センター)、『厚生労働統計で知る東日本大震災の実状』(統計研究会)など。

 9月16日の敬老の日に公表された総務省の人口推計によれば、65歳以上の高齢者人口は、3588万人と過去最多となった。少子化により総人口が減少したため、高齢者の割合は28.4%と過去最高で、世界201カ国・地域中でも最高水準であることが分かった。

 日本でここまで高齢化が進んだ理由は、寿命の伸長である長寿化のおかげであり、人生100年といわれている中で、喜ばしい側面もあることは確かである。しかし、一般的に高齢化というと、若年労働者の不足、年金財政の持続性の問題、老人医療費の増大など、明るい話題は少ない。

(metamorworks/gettyimages)

 さらに、国全体の高齢化の進展とあいまって、地方の高齢化はさらに深刻であるととらえられている。その象徴とも言うべき衝撃的な推計が増田寛也氏らを中心とした日本創生会議が2014年に発表した「消滅可能性都市」の推計である。

 この推計によれば、現在のような地方から大都市への人口流出のペースが収まらないと仮定すると、40年には全国の896 自治体(市町村)が「消滅可能性都市」となり、それは全体の 49.8%を占めるというものであった。

 この増田氏らの行った推計では、子どもを産む女性人口に注目しつつ、「2040年時点で人口が1万人を切る市町村」(523 自治体、全体の 29.1%)は「消滅可能性が高いと言わざるをえない」とされている。地域の人口が1万人を下回ったら本当にその地域はもう社会的に持続できない=消滅となってしまうのであろうか。

 ここでは、人口の観点から地域の将来を考える場合に、人口数以外の新たな視点で見直すことを考えてみたい。

すでに地域力=人口ではなくなっている

 消滅可能性都市の推計は、「地域が都市として成立する人口規模なのか」という視点で作られた指標であるように思われる。つまり行政執行の単位として都市には一定程度の人口規模が必要であるという考え方である。地域を評価するにあたって人口規模を問題とすることは、どちらかといえば統治者(行政、首長)側からの視点で考えるとわかりやすい。

 中世の戦国時代のような社会では、領地(国)の面積や人口数の多寡=「国力」の大きさを表すと言えた。それは、より多くの石高とより多くの兵士を要することができたからである。しかし、現在ではそのような領地間の闘争の時代ではない。地域の人口数が多いこととその社会の繁栄は直結しているとは言えなくなっている。

 統治者側から住民へと視点を移すと、自らの住む地域の人口数の減が、その地域の生活の豊かさの喪失につながるとは限らないという点が浮き彫りになる。

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