2025年4月23日(水)

World Energy Watch

2025年4月9日

 米国に住んでいた時にフォードの自動車に乗っていた。日本車ではあまり考えられないが、毎月のようにどこか故障していた。

 高速走行中にいきなり10マイルスピードが落ちたことがあり、肝を冷やしたが、止まらなかっただけ良かったかもしれない。友人のゼネラル・モーターズ(GM)の車は交差点で右折(右側通行なので日本の左折と同じ)時にエンジンがよく止まっていた。

 納車後数カ月でエアコンが効かなくなった。ディーラーに持ち込んだところ、部品の交換だったのだが、「日本製なので取り寄せに時間がかかる」と言われた。

 修理担当者が「日本製でも壊れるんだよ」という顔をしたのを覚えている。米国車には日本製のみならず、カナダ製、メキシコ製部品なども使われている。

トランプ大統領による関税によって米国の自動車も値上がり必至だ(AP/アフロ)

 日本は米国からの輸入品に46%の関税を課しているとみなされ、日本の輸出品には24%の相互関税が課せられる。一方、米国に輸入される自動車には相互関税ではなく、一律25%の関税(現在の関税に追加される可能性が高く、日本車には合計27.5%)が4月3日から課せられることになった。自動車部品についても同じ税率の関税が5月3日までにスタートする。

 関税は輸入車だけでなく、輸入部品を利用する米国車の販売価格の引き上げにつながる。米国の複数の自動車専門誌のサイトは、100%米国製の車は1台もないので、全ての車が値上がりすると報じている。

 値上げは米国の消費者の買い控えを誘発する。中国に次ぎ世界2位の自動車市場である米国での販売の落ち込みは、米国のみならず世界の自動車産業を低迷させる。裾野の広い自動車産業が減速すれば影響は大きい。

 自動車への関税と「相互関税」は、世界中の市場で株安を引き起こした。その後実施をめぐる推測もあり、株価は乱高下しているが、不安定な動きが続くだろう。多くのメディアが世界の景気後退を招くと非難するトランプ大統領の関税の理屈は何だろうか、また自動車産業への影響はどの程度あるのだろうか。


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