日本の23年の輸出総額は、100.9兆円。うち20.3兆円の米国は最大の輸出相手国だ(図-1)。
最大の輸出品目は自動車17.3兆円、うち米国向けは5.8兆円ある(図-2)。自動車部品の輸出も米国向け1.08兆円を含め3.9兆円ある。
関税により、日本車を含む輸入車だけでなく、輸入部品を利用する米国製自動車も値上がりする。
震え上がる米国の自動車業界
米国の3月の販売台数は前年同期比9.1%増の159万台。季節調整後の年間の販売台数にすると1700万台を超えるペースになっている。24年の販売台数1590万台を上回るが、関税による価格上昇前の駆け込み需要があったためだ。
しかし、米国の自動車業界のコンサルは、これからハルマゲドン(聖書の終末における善と悪の大決戦)が起きるとし、関税は自動車産業を破滅させる可能性があると警告している。
テレビのインタビューで、自動車会社の最高経営責任者(CEO)へのメッセージを問われたトランプ大統領は次のように答えた「おめでとう。米国で車を生産すれば儲けることができる、まだだったら、米国に来て生産を始めれば、関税はかからない。車の値段が上がるかはあまり気にしていない。(輸入車が)値上がりすれば、皆米国産の車を買い始める」。
自動車産業は世界的なサプライチェーンの下で成立しているので、米国車も輸入部品を使っているが、トランプ大統領はよく理解していない可能性がある。
メーカーが努力しコスト増を吸収するにも限度があり、モルガン・スタンレーのアナリストは、平均11%から12%の値上がりが予想され、消費者の買い控えにより自動車のキューバ化(キューバでは古い米国車が多い)が進むとみている。
業界のコンサルによると、自動車業界の負担増は1000億ドルから1250億ドル(15兆から19兆円)に達する可能性がある。トランプ大統領が期待する米国内生産を始めるには工場の建設などで少なくとも3年かかるし、また業界の負担が大きすぎるので、まだ始まっていない部品への関税はトランプ大統領のハッタリではないかとの見方もある。