2025年4月1日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年3月28日

 3月5日付Project Syndicate誌に掲載されたイアン・ブルマの論説‘Who Will Lead the Democratic World?’(誰が民主主義世界をリードするのか)は、米国が抜けた穴を埋められるのはドイツ・日本だけだが、それには多くの問題がある、と分析している。要旨は以下の通り。

(RobGreene/gettyimages)

 米国支配の終わりは近い。問題は米国に安全を依存してきた欧州と東アジアの主要同盟国がどう反応するかだ。

 欧州の指導者は急遽会合を開催し勇敢に語った。カッラス欧州連合(EU)外相は、自由世界は新たな指導者を必要としており、それは我々次第だとXに投稿。英国のスターマー首相はウクライナでの公正な停戦実現のため核兵器国仏と協働すると約した。注目はドイツの次期首相と目されるメルツが、欧州は米国から独立すべきだと発言したことだ。

 トランプの同盟国裏切り、ウクライナ侮辱、権威主義者受容が、欧州と東アジアの民主主義国を新たな同盟形成に導けばベストだ。新秩序形成は必須だが障害もある。

 EUは軍事勢力ではなく英仏主導の有志連合は米国を代替できない。欧州諸国が北大西洋条約機構(NATO)に代わる軍事同盟を作るとしても長い年月が必要でドイツの指導力無しには成功しないだろう。

 2011年にポーランドの外相はベルリンで、ドイツの力よりドイツが行動しないことを恐れる、と語った。ナチ占領で傷ついた欧州諸国国民の多くはこれに同意するが、過去に欧州の大部分と自身を崩壊させた軍事力再来に未だに神経質な多くのドイツ人は同意しないだろう。先の総選挙ではトランプとプーチンに同情的で反ウクライナ支援の極右ドイツのための選択肢(AfD)が第2位だった。

 東・東南アジアでは一層問題山積だ。米国のアジア同盟国に核兵器国はない。中国支配から防衛するNATO的枠組みもない。


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