米国の最も裕福な同盟国日本は米国に頼り切りで、核を持つ北朝鮮専制体制の脅威に晒されている韓国も同様だ。中国の敵対行動に対処している東南アジア諸国にも米国の支援は必須だ。
そして、米国と公式な安全保障関係が無い台湾がある。トランプがプーチンとの取引でウクライナを犠牲にする用意があるなら、習近平との商売のため台湾を差し出す可能性は否定できない。
もし米国支配が終わるなら中国を止める唯一の手はアジア版NATO創設だ。韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピンの民主主義国に加え、半民主主義国であるシンガポール、タイ、権威主義国のベトナムでさえ包含するものだ。
しかし欧州と同じ問題がある。このような多様な同盟を主導できるのは日本だけだが、アジアの多くの人々は第二次世界大戦時の酷い行為を認めない保守政党が長年支配する日本の主導を警戒し、殆どの日本人は自分を信頼していない。
米国支配体制はいずれ終わらざるを得ない。多くの裕福な国が自国の安全を一つの超大国に依存するのは元々健全で持続可能ではない。しかし終焉のタイミングと形は最悪だ。欧州とアジアの民主主義国が露中イラン北朝鮮という権威主義国同盟に対応する正にその時に、守護者が支援引揚げを脅し、防衛再構築の時間はない。
米国の同盟国がパニックし他の大国に保護を求めることもあり得る。韓国と東南アジアは中国を、英国は米国を頼るかもしれないが、独、仏はロシアを頼るだろう。取り残された日本は広島以来の核兵器アレルギーを克服するかもしれない。
欧州は何とか対応し、米国はアジアから撤退しないかもしれないが、希望的観測を持つべきではない。欧州とアジアの民主主義国が権威主義国への唯一の防波堤であり、政治的自由を守る責任は過去それを破壊した独・日が負っている。
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マレーシアの行動の衝撃
この論説の基本的問題意識には賛成できる。米国の安全保障の傘は不可逆的に退いており、権威主義国との対峙でより大きな役割を果たすべきは、残る数少ない国際秩序を守る意思と能力を併せ持つ国、具体的には、欧州諸国と日本・豪州・韓国等のアジアの民主主義国で、この記事が言うように、そのような動きを主導すべき立場にあるのは、欧州ではドイツ、アジアでは日本だろう。ここでは東・東南アジアに焦点を絞ってコメントしたい。
東南アジアにおいては、既に米国の撤退を踏まえた動きが起こっている。米国からの独立を説くメルツの発言と同程度ショッキングなアジア諸国関係者の発言は、マレーシアのアンワルのものだ。
彼は、反米とみなされるBRICSに加盟を申請した理由を問われ、一言「我々はもはや米国を恐れていない」と述べたのだ。さらに、その意味するところを聞かれ、「以前は西側に属していないと米国から怒られたが、もはや米国は地域に居ないし、関心も無いし、戻ってこない」と述べた。