中国が対日強硬姿勢を強めている。
訪日旅行や留学の自粛、日本映画の公開延期、アーティストのイベント中止など、怒涛のような勢いで対日”制裁”が打ち出されている。なぜ外交問題が、旅行、留学、映画、芸能イベントといった分野にまで波及するのか。この仕組みを理解しなければ、中国の対日姿勢は読み解けない。
習近平が「ゴーサイン」
改めて、問題の発端をおさらいしておこう。高市早苗首相は7日の国会答弁で、中国が武力を行使すれば、日本の存立危機事態になりうると答弁した。翌8日に薛剣・駐大阪中国総領事が「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」とSNS「X」でポストし、品位のない発言と日本国内からは反発する声が高まった。
失礼な物言いであることは明らかに思えたが、中国は逆に反応を硬化。13日に金杉憲治・駐中国日本大使を呼び出し抗議、翌14日からは旅行自粛などの制裁ラッシュが始まった。
この流れだけ追っていくと、日本国内の薛剣総領事への批判に中国が逆ギレしたように見えてしまうが、おそらくは異なる。7日の高市首相発言に対してどのように反応するか、中国共産党内部で検討し、習近平総書記が強硬姿勢にゴーサインを出したのが13日だったとみるべきだろう。
薛剣総領事の暴言は火種ではあっても、本質的な要因ではない。中国が本格的に動いたのは、高市首相の発言を“台湾問題への越線”と判断し、党中央が対日強硬に舵を切ったからだ。
