高市早苗首相の突然とも言える解散表明による衆議院総選挙は、自民党が単独過半数を大きく上回り、絶対安定多数(261議席)を上回って316議席、単独で3分の2議席(310議席)を超える圧勝だった。参議院で否決された法案の衆議院再決議を単独で可能となった。高市政府は大変な権力を握った。
高市首相に対する圧倒的な人気と期待が何といっても今回の選挙のすべてだった。選挙戦での演説で多くの自民党候補者は高市氏との距離の近さを第一に掲げ、党総裁の名前を連呼する姿が多くの選挙区で見られた。高市人気にあやかる発足間もない政権への御祝儀人気投票、そして高市首相個人に対するイメージ選挙であり、与党候補者が勝ち馬に乗る形の選挙だった。
解散表明をした会見で、「国民に新政府に対する信任を問う」と語った高市首相の〝思い〟はかなった。しかし筆者は今回の華々しい選挙結果に一抹の不安を覚える。高市首相の「思い」を支えた手法と方向性についてだ。
自民党選挙対策本部長代理鈴木俊一議員は、選挙結果の大勢が判明した直後に「野党の意見を十分に聞き入れて政局運営をしていきたい」という趣旨の謙虚な姿勢を伝えた。しかし果たしてそうなるのか。野党は壊滅状態だ。また今回の解散総選挙は鈴木氏の発言とは裏腹の論理に基づいたものではなかったか。
筆者は今回の自民党大勝にある種の懸念を禁じ得ない。今回の選挙の在り方と自民党大勝をもたらした国民の政治意識を問う。
