ロシア経済の減速が鮮明だ。ロシア中銀は、2025年第3四半期の国内総生産(GDP)成長率を0.4%と公表。季節要因を取り除いた同四半期GDP成長率はゼロまたはマイナス圏で推移している。
ロシア科学アカデミー国民経済予測研究所は、特に製造業の状況を「危機的」と評価。製造業24業種中、25年1~9月の間で1%以上の成長を記録したのは、5業種のみで17業種の生産は減少に転じた。軍事産業の冷え込みは明らかで、輸送機器や金属製品の生産は減少し、25年11月の鉱工業生産はマイナス0.7%を記録した。
軍事ケインズ効果の行き詰まり
この主な理由に「軍需の飽和」と「財政余力の限界」があげられる。
これまで、ロシア経済は、ウクライナ侵攻のために巨額の軍事支出を行ってきた。25年の財政総支出に占める防衛・安全保障関連費は実に約41%に及ぶ。これをカンフル剤とする「軍事ケインズ効果」によってロシア経済は、23年プラス4.1%、24年プラス4.3%と成長を記録した。
他方、ウクライナ侵攻は継続しているものの、軍需は既に高い水準で飽和している。さらなる軍事力を投入するにも供給能力のキャパシティオーバーに加え、財政が悲鳴を上げ始めている。
シルアノフ財務大臣は、国営テレビ「ロシア24」にて25年の財政赤字がGDP比マイナス2.6%となったと発言。財政赤字を補填するため、ロシア財務省はVAT(付加価値税)の税率を20%から22%に引き上げることを26年の税制改正に何とか盛り込んだ。ロシア財政の膨張余力は既に喪失しているとみることが可能だ。
これに「内需と外需の低迷」が重なる。
供給能力を上回る軍事支出や欧米制裁に伴う輸入品・国内代替コストの上昇からインフレが高進し、家計の購買力が低下。ロシア国家統計局によれば、24年後半から顕著となったインフレ率は25年1~10月にプラス9.23%、特に食品はプラス11.15%で、ロシア国民の体感ではさらに高いと聞く。
国内投資は25年第3四半期にマイナス3.1%となり、ウクライナ侵攻後、初めてマイナスに転じた。建築ニーズや新車販売も落ち込んでおり、内需は低迷フェーズに移行している。
