2026年1月9日(金)

プーチンのロシア

2026年1月8日

 ロシアが2022年2月に始めたウクライナ侵略戦争は、開始時点で兵士数が5倍超の差であったにも関わらず、25年も決着を見ることなく再び越年を余儀なくされた。プーチン大統領は12月31日のテレビ演説で自国民に「ロシアのために目標を達成しなくてはならない」と訴えたが、その表情は極めて険しかった。

プーチン大統領の2025年末のテレビ演説(SOPA Images / gettyimages)

 ロシア軍兵士の死者数の増大はペースが加速し、戦時経済体制で維持してきた経済成長も鈍化が鮮明になっている。占領地の拡大が報じられるロシアだが、犠牲をいとわない人海戦術で〝優勢〟を維持しているのが実態で、5年目への突入が見えはじめたウクライナ戦争は、攻勢をかけているはずのロシアにも厳しい状況を突きつけている。

〝偉大なロシアのため〟

「私たちの団結の強さが祖国の主権の維持と安全、成長、そして未来を決めていく」

「私たちは、私達のために働いてくれている英雄に思いをはせなくてはならない。それは、この特別軍事作戦に参加している兵士たちだ」

「私たちはともに、目指した目標を勝ち取らなくてはならない。子供たちのために、そして偉大なロシアのために!」

 25年12月31日、新たな年を目前にする中、プーチン大統領は恒例のテレビ演説を行い、ロシア全土の国民にこう訴えかけた。ただ、表情は常に硬く、柔和さは伺えなかった。〝あなた方は祖国のために、新たな犠牲を覚悟せねばならない〟と呼びかけているかのようだった。

 短期決着を狙った戦争が再び越年する状況に、ロシア側の焦りが感じられる場面もあった。12月29日に行われた米国のトランプ大統領とプーチン大統領の電話会談のさなかに、ロシアのラブロフ外相は突然ウクライナ軍によるドローン作戦で、プーチン大統領の公邸が攻撃されたと発表した。通常は軍幹部が発表する内容だが、この日はなぜか外相が発表し、その後のロシア側の説明はドローンの機数などで食い違うなど不自然さが随所に浮かび上がった。

 ウクライナ側は即時に否定し、米中央情報局(CIA)も、そのような見方を否定した。トランプ大統領も敏感に反応した。

 12月31日、ロシア側の主張を否定する内容の米メディアの社説を自身のSNSで投稿。社説はドローン攻撃をめぐるロシア側の主張に強い疑問を呈し、和平の妨げになっているのはロシアだとする内容で、プーチン大統領への強い不快感が鮮明になっていた。トランプを引き寄せようとしたロシア側の狙いが逆効果となったのは確実だ。


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