2026年3月12日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年3月12日

 ウォールストリート・ジャーナル紙が、新戦略兵器削減条約(新START)が失効したことによって、米国はようやく必要とされる抑止力を構築することができる、と指摘するトム・コットン上院議員(アーカンソー州選出、共和党。上院情報委員会委員長)の論説を2月15日付けで掲載している。概要は次の通り。

アリゾナ州、サイロ内のタイタン核大陸間弾道ミサイル(Michael Dunning/gettyimages)

 2月5日、新STARTが失効したが、これは米国の核戦略における転機を画することになる。新STARTの失効は、ロシアと中国という二つの核兵器についてのライバル国に対して米国が脆弱となっていた戦略上の誤りを遅まきながらも修正するものである。相手国が核戦力を拡大しているというのに米国は一方的に自制してきたが、米国は、ようやく直面する脅威に対応するための抑止力を構築できる。

 ロシアは配備済みの戦略核弾頭を1550発、非戦略を2000発保有しているとされるが、ロシアの核弾頭製造能力とプーチン大統領のこれまでの軍備管理違反の経歴からすれば、実際の数はもっと多いと思われる。さらに、数だけの問題ではなく、ロシアは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載型極超音速滑空体、原子力推進の巡航ミサイル、核搭載可能な自律型水中システムなどの新型の核運搬システムを開発している。

 ロシアの核の近代化だけが直面する課題であるのであれば、米国として二国間の軍備管理アプローチを活用する方法もあったかもしれないが、中国が前例のないペースで核戦力を増強して、二番目の同等の核大国として台頭してきたという、グローバルな安全保障の様相を変える地殻変動が起こった。2024年半ばにおける中国の運用可能な核弾頭は600発を超えており、30年までに1000発を超えそうである。これは、(中国の核政策が)最小限抑止から量・質の両面での米露との間で戦略的パリティへと根本的な転換を遂げたことを意味する。

 米国が対応を取っていることは朗報だ。昨年、議会は、核の近代化に追加的な資金割り当てを行った。しかし、やるべきことはもっとある。六つの点を挙げたい。

第一:戦略ミサイル原潜のミサイル発射筒を換装すべきである。海軍は、新START対応のためにミサイル発射筒(の一部)を使用不能にした。これらの発射筒を換装し、核の三本柱の中で最も生存性が高い戦略ミサイル原潜の核弾頭の数を増強すべきだ。


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